2020 Fiscal Year Research-status Report
コンクリートの物質透過性および劣化抵抗性の早期推定手法に関する研究
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19K04552
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
藤井 隆史 岡山大学, 環境生命科学研究科, 准教授 (10537236)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 凍結融解試験 / 小片凍結融解試験 / 質量残存率 / スケーリング |
Outline of Annual Research Achievements |
凍結融解試験に関して,1辺が1cmの小片を用いた凍結融解試験と,JIS A 1148に規定されている凍結融解試験との関係について検討を行った.小片凍結融解試験では,モルタルを用いた.モルタルは,40×40×160mmの型枠で成形し,養生した後,湿式ダイヤモンドカッターを用いて1辺が10±2mmとなる小片試験体を作製した。この時,材料の均質性を確保するため,型枠端部から10mmと,打込み面から10mmの部分は破棄した.また,側面から5mm程度の型枠に接する部分も廃棄し,6面全てが切断面になるようにした.ポリプロピレン製の容器に,モルタル小片6個と試験水100mLを入れ,3時間で-20℃まで降温させ9時間保持して凍結をさせた後,3時間で30℃まで昇温させ9時間保持して融解させる工程を1サイクルとして試験を行った.融解工程終了後に,モルタル小片を取り出し,崩れ落ちた部分を取り除いて質量を測定した.その結果,試験水が真水の場合には,小片に凍結融解作用を与えてもほとんど崩れ落ちないのに対し,塩化ナトリウム水溶液にすることで,7サイクル程度で急速に劣化することが確認された.JIS A 1148に規定されている凍結融解試験との対応については,コンクリートからウェットスクリーニングで採取したモルタルを用いて小片凍結融解試験を行った.耐凍害性の著しく低いコンクリートでは,モルタル小片の凍結融解試験においても早期に劣化したが,JIS A 1148で耐久性指数と明確な相関関係があるとは言えない状況であった.一方で,スケーリング試験と小片凍結融解試験の結果の対応についても検討したが,こちらは,概ね相関関係が認められた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
凍結融解試験に関しては,概ね順調に成果が得られつつある.一方で,塩化物イオン浸透性や中性化に対しては,COVID-19の感染拡大防止のため,年度最初に,大学への入構禁止や研究停止の措置が行われたこともあり遅れている.今年度,集中的に実験を行う予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
塩化物イオン浸透性については,薄片を用いた迅速試験の検討を行う.土木学会規準の浸漬法と薄片の浸漬試験の結果を比較しながら,検討を行う. 中性化試験については,塩化物イオン浸透性と同様に薄片を用いた迅速試験の検討を行う.ここで,当初計画では,粉砕した粉末と蒸留水との混合液のpHもしくは中和滴定を用いて,中性化の程度を調べるとしていたが,これらに加えて,熱分析による炭酸カルシウムの含有量についても測定を行いながら,適切な評価方法を検討する.
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響で,すべての学会が中止もしくはオンライン開催となり,旅費が全く必要なくなった.一方で,実験での消耗品で支出が増える見込みである.
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