2021 Fiscal Year Research-status Report
コンクリートの物質透過性および劣化抵抗性の早期推定手法に関する研究
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19K04552
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
藤井 隆史 岡山大学, 環境生命科学学域, 准教授 (10537236)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 塩化物イオン浸透性試験 / 見掛けの拡散係数 / 浸漬法 / 薄片 |
Outline of Annual Research Achievements |
コンクリートの塩化物イオン浸透性を評価する際に塩水浸漬試験が用いられるが,遮塩性が高いコンクリートの場合,塩水浸漬法は長期の試験期間を要する.そこで,高炉スラグ微粉末および高炉スラグ細骨材を用いたモルタルおよびコンクリートを使用して,短期間に塩化物イオン浸透性を評価することを目的とし,薄片を用いた塩化物イオン浸透抵抗性試験を検討した.薄片法では,浸漬試験を3年間行った供試体を用いて薄片供試体を作成し試験を行った.電気泳動法は,浸漬法と同じ配合の供試体を用いて試験を行った.また,その他の配合についても薄片法および電気泳動法を用いて塩化物イオン浸透抵抗性を検討した. 浸漬による方法は,JSCE-G 572「浸せきによるコンクリート中の塩化物イオンの見掛けの拡散係数試験方法(案)」に準拠して行った.薄片による方法は,厚さ2mmのモルタル薄片を用いた.いずれの供試体も,10%の塩化ナトリウム水溶液に浸漬した.モルタル中の塩化物イオン量の定量は,JIS A 1154「硬化コンクリート中に含まれる塩化物イオンの試験方法」に従って測定を行った. 塩水に浸漬させた薄片供試体の塩化物イオン量の経時変化を調べた結果,普通ポルトランドセメントおよび砕砂を用いたものは,比較的早期に塩化物イオン量が増加しているのに対し,遮塩性の高い高炉スラグ微粉末および高炉スラグ細骨材を用いたものは,塩化物イオン量の増加が遅くなっている.いずれのモルタルも,28日程度の浸漬期間で,薄片中の塩化物イオン量が飽和に近付いていることが分かった.3年間の浸漬による方法から求めた見掛けの拡散係数と薄片から求めた見掛けの拡散係数を比較した結果,浸漬による方法で求めたものと薄片で求めたものの間には,相関関係が認められた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の感染拡大防止のため,大学への入構禁止の措置が2021年度も行われたこともあり,やや遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,塩化物イオン浸透性については,薄片を用いた迅速試験の検討しながら,併せて非定常電気泳動法との比較についても行う.既存の複数の方法と比較しながら,検討を行う. 中性化試験については,塩化物イオン浸透性と同様に薄片を用いた迅速試験の検討を行う.ここで,粉砕した粉末と蒸留水との混合液のpHもしくは中和滴定を用いて,中性化の程度を調べるとしていたが,これらに加えて,熱分析による炭酸カルシウムの含有量についても測定を行いながら,適切な評価方法を検討する.
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Causes of Carryover |
出席を予定していた学会が,すべてオンラインでの開催に変更されたため,旅費が必要なくなった一方で,実験での消耗品で支出は増えている.2022年度の学会の開催方法は,対面での開催が予定されているものもあるが,すでのオンラインでの開催に変更されたものもある.実験消耗品を中心に支出する予定である.
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