2019 Fiscal Year Research-status Report
Crack control of concrete caused by thermal-autogenous-drying shrinakges based on constituents
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19K04559
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Research Institution | Ashikaga University |
Principal Investigator |
宮沢 伸吾 足利大学, 工学部, 教授 (10157638)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | コンクリート / セメント / 水和発熱 / 自己収縮 / 乾燥収縮 / ひび割れ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、使用するセメント及び骨材の特性を考慮し、コンクリートの収縮ひずみに占める温度収縮、自己収縮、乾燥収縮の各収縮ひずみ成分の比率を実験により把握し、コンクリートのひび割れ発生に及ぼすこれらの収縮成分の寄与度について明らかにすることを目的としている。 2019年度は、プレキャストコンクリート製品を研究の対象とし、収縮成分のうち乾燥収縮が卓越すると考えられる条件として、断面寸法100×100mmのコンクリート供試体が蒸気養生終了後に乾燥を受ける場合のコンクリートの拘束応力を計測した。特に、普通ポルトランドセメントのみを用いた場合及びフライアッシュセメントや高炉セメントを用いた場合を対象とし、セメントの種類が乾燥収縮応力に及ぼす影響について、一軸拘束応力試験によって把握した。これらの実験結果に基づいて、プレキャストコンクリート製品の収縮ひび割れ制御計画に資するデータを収集することができた。 また、重力式コンクリートダムを対象とした、自己収縮が温度応力に及ぼす影響ついてのこれまでの研究代表者らの研究成果を学術論文誌に投稿し、査読意見を踏まえてさらに詳細な検討を行った。特に、施工過程でコンクリートダム堤体内に発生する拘束応力の分布について再検討を行った。これにより、ダムコンクリートにおいては、使用するセメントの種類によってはセメントの水和熱に起因する温度応力のみならず、自己収縮ひずみを考慮してひび割れ制御を行う必要があることを提案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究対象として想定している3種の構造物のうち、プレキャスト製品及びコンクリートダムについては、実験及び解析による研究が進展している。前者については、フライアッシュ、高炉スラグ微粉末、石灰石微粉末等の結合材の種類と配合比率、水結合材比が自己収縮及び乾燥収縮に及ぼす影響を実験により明らかにしている。後者については、収縮に起因するコンクリートの拘束応力に占める自己収縮と温度収縮の影響度を定量的に示している。これらのことから、本研究は概ね順調に進展している判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、新型コロナウイルス対策のため、実験的な研究を十分に行うことができない可能性がある。そこで、当面は解析的な検討を中心に行い、研究の進展を図ることとする。具体的には、構成材料が各収縮成分に及ぼす影響を指針類の予測モデルにより算定し、これらを考慮してモデル構造物を対象にして温度応力解析を行う。モデル構造物の設定においては、コンクリートの構成材料や部材寸法を要因として考慮する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は約1万円であるが、本研究では、年度を跨いで継続的に実験を行うので、翌年度分の請求額と合わせて実験用資材(消耗品)として効果的に使用する予定である。
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