2020 Fiscal Year Research-status Report
けい酸塩系表面含浸工法の改質効果と劣化因子侵入阻止性に関する定量的評価
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19K04564
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Research Institution | Kochi National College of Technology |
Principal Investigator |
近藤 拓也 高知工業高等専門学校, ソーシャルデザイン工学科, 准教授 (70758672)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | けい酸塩系表面含浸材 / 改質効果 / 定量評価 / ビッカース硬さ試験 / 劣化因子侵入阻止性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題の当初の目的は、けい酸塩系表面含浸材の反応に寄与する3要素である「けい酸塩表面含浸材の性質」「セメントペースト中のCa(OH)2」「水」が、けい酸塩系表面含浸材の改質効果に与える定量的評価である。このうち令和2年度については、「けい酸塩(使用量)」「Ca(OH)2」が改質効果に与える影響について、劣化因子侵入阻止性との関係を検討した。 検証する劣化因子をCl-とし、ビッカース硬さ試験から得られた硬さ増加量、そして効果程度を示す指標面積との関係について検討を行った。1年目の成果通り、けい酸塩系表面含浸材の使用量が増加しても、ビッカース硬さ試験による明確な硬さ増加は確認できなかった。そのため、改質層内におけるCl-浸透速度については、表面含浸材の使用量により明らかな差は確認できなかった。ただし、等価かぶりを考慮した改質部分の見掛けの拡散係数は、ビッカース硬さの増加よりも、改質深さの増加が寄与する傾向が確認できた。そのため、Cl-浸透阻止性の評価を行う場合は、改質深さも重要な要素になることが確認できた。 セメントペースト中のCa(OH)2量とCl-の浸透阻止性については、供試体の水セメント比を変化させた場合は、ビッカース硬さ増加量とCl-浸透速度の関係性について、一意的な関係が得られた。また、中性化によるCa(OH)2の減少とともに、ビッカース硬さ量そしてCl-浸透阻止性の低下も捕捉することができた。 これらの結果から、ビッカース硬さ試験を利用してけい酸塩系表面含浸工の改質効果を同定する方法により、Cl-浸透阻止性について定量的に把握できる可能性について示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本来であれば、令和2年度の実施予定内容は、「けい酸塩系表面含浸材の主成分濃度による改質効果の検討」「母材の含水率による改質効果の検討」であった。しかし、改質効果を検討するためのビッカース硬さ試験機が高知県外にあることから、令和2年度での実施は困難な状況であった。そのため、令和3年度に実施する予定であった「指標面積を用いた劣化因子侵入阻止性との関連性」について前倒し実施を行った。その結果、等価かぶりの概念を用いてけい酸塩系表面含浸工の改質効果を定量評価した。また、Cl-の見かけの拡散係数を算定し、劣化因子侵入阻止性との関連性について一定の成果を収めることができた。そのため、計画通り研究が進んでいると判断した。 そのため、令和3年度については、令和2年度に実施予定の2項目の実施、そして研究総括を実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は本課題最終年度となる。そのため、現在実施内容として残っている「けい酸塩系表面含浸材の主成分濃度による改質効果の検討」「母材の含水率による改質効果の検討」について、ビッカース硬さ試験、そしてCl-浸透阻止性について実験を行う。 また、過去2年の結果も含め、ビッカース硬さ試験により得られたビッカース硬さ増加量(割合)に寄与する要因について、整理を行う。必要により要因分析を行うこととする。 同時にCl-浸透阻止性について評価を行い、ビッカース硬さ試験によるビッカース硬さ増加量と浸透阻止性の関係について相関関係を検討する。これにより、ビッカース硬さ試験によるけい酸塩系表面含浸工法の改質効果に関する定量的評価方法を整理したい。
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Causes of Carryover |
残額は端数である。次年度の予備費として使用する。
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Research Products
(5 results)