2020 Fiscal Year Research-status Report
Research on ballast settlement behavior of curved railway track
Project/Area Number |
19K04572
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
紅露 一寛 新潟大学, 自然科学系, 教授 (70361912)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | バラスト道床沈下 / 曲線軌道 / 車輪・軌道系連成振動 / 3次元曲げねじり振動 / 有限要素解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,特に人口集中地帯における大量輸送手段,および陸上の物資大量輸送手段としての鉄道の役割に着目し,世界屈指の高水準であるわが国のさらなる発展と,国際的な技術・事業展開に貢献することを目的として,長きにわたり国内外で供用されているバラスト軌道に関して次の2点を具体的な研究目的に設定している. (1)曲線部バラスト道床の3次元的変状に関する定量予測手法を確立すること. (2)曲線部バラスト道床の3次元的な不可逆変形の発生・進展メカニズムを解明すること. 軌道が有限長のレールを締結して作られる構造上,軌道曲線部ではどうしてもレール継目を配置せざるを得ず,継目部を車両が通過すると,特に高速運転時や重量の大きな車両の通過時にバラスト道床に不可逆的な変位・変形が生じる.この変位・変形に関する上記2点の研究目的の達成は,軌道狂いの抑制対策工法の開発のためにも長きにわたり求められているものである. 令和2年度は,軌道曲線部のバラスト道床の作用外力の評価を目的として,曲線軌道を対象としたレール継目部振動解析手法の開発と,曲線軌道を対象とした軌道振動解析プログラムの開発に取り組んだ.曲線軌道の振動応答は,令和元年度の研究成果をもとに,曲率を無視した3次元曲げねじり振動として評価することとしたうえで,解析プログラムの開発に取り組んだ.また,レール継目部の車輪・レール接触力のモデル化の取り扱いに課題が生じたため,文献調査およびモデル構築のための一部定式化に取り組んだ.また,曲線部レール継目の軌道振動解析法の開発,解析プログラム開発と並行して,振動解析時の材料物性値の感度解析を兼ねて,バラスト道床の弾性係数と質量密度の空間的ばらつきを同時に考慮した車両・軌道系の連成振動解析を行い,軌道各部の動的応答に及ぼす当該の空間的ばらつきの影響の定量評価を試みた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度は,新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い,所属組織の教職員および学生の研究活動に制約が生じたこと,および非対面授業の長期化およびその準備が必要になったことなど,当初の研究計画策定時に想定していなかった事態に直面した.また,曲線軌道の振動解析プログラムの開発に着手したものの,車輪・レール接触力の簡易モデル化に関する課題に直面したことから,当初予定の段階までの研究の進捗が実現できなかった.一方で,軌道振動解析における材料物性値の感度解析については,年度当初の予定通りに研究が進捗している.以上の点から,上記の自己評価区分とした.
|
Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は,軌道曲線部における車輪・軌道連成振動解析法のプログラム実装を終え,年度の早い段階で解析結果の妥当性の検討に取り組む予定である.また,軌道曲線部の軌道狂い抑制に効果があるとされている井桁状まくらぎの振動モデルの検討を行い,軌道設計への実用化に有用な解析手法の開発・選定に取り組む.また,バラスト道床沈下解析における複数の材料物性の空間的ばらつきの影響を検討し,当該課題で開発した道床沈下解析法の信頼性評価に資する研究成果の蓄積に取り組む.得られた研究成果は,国内外の学術誌,および各種講演会で公表する計画である.
|
Causes of Carryover |
当初の研究計画では,令和2年度は調査研究および成果発表のための旅費および参加費の支出を計上していたが,国内外の移動ができず,一部学会の中止やオンライン化により支出を予定していた事由がなくなったため,次年度使用額が発生している.令和3年度は,調査研究および成果発表のための各種学会講演会の参加費のほか,研究の進捗にあわせて購入を延期していた解析計算用ソフトウェアの購入,および研究成果の公表のためのホームページ作成,資料収集のための各種消耗品の購入に研究経費を充てる計画である.また,新型コロナウイルス感染症の感染拡大が終息しないことを踏まえて,事業最終年度での研究の確実な実施のために,小規模計算用サーバまたはワークステーションの購入を計画・検討している.
|