2019 Fiscal Year Research-status Report
橋梁を用いた振動発電タイプの走行荷重・劣化度評価モニタリングシステムの開発
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19K04574
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
深田 宰史 金沢大学, 地球社会基盤学系, 教授 (10313686)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 敏幸 金沢大学, 電子情報通信学系, 准教授 (30338256)
北川 章夫 金沢大学, 電子情報通信学系, 教授 (10214785)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 劣化構造物 / 長期モニタリング / 橋梁振動 / 振動発電デバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
北陸地方の国県市道や高速道路における道路橋では,過積載車両の影響が懸念されることに加え,ASR,凍結防止剤(NaCl)散布による塩害および凍害などの要因による劣化が顕著に見られ,これらの劣化構造物の劣化度を適切に評価できる手法を開発することが求められている.このような問題に対して,現地で長期モニタリングを行う場合,電源を確保することが大きな課題となっている.とくに,塩害や凍害などが発生する山間部などの架橋現場は電気が通っていない環境が多い.一方で,エネルギー・ハーベスティング技術や蓄電技術が向上している現在,電源が容易に確保できない橋梁現場でも長期間の走行荷重モニタリングが可能な振動発電を利用したモニタリングデバイスの必要性が高まっている.そこで本研究課題では,劣化構造物上を走行する活荷重と床版変位との関係から劣化度を評価できる振動発電を利用したモニタリングシステムを開発することを目的とした. この目的に対して,本年度は主に振動発電デバイスの橋梁への設置位置の検討を行った.具体的には,振動発電デバイスの性能を効率よく発揮できる,橋梁へのデバイス設置位置を実験と解析により検討した.橋梁振動は,車両のばね上振動(3Hz付近)が卓越する振動数域とばね下振動(10~20Hz付近)が卓越する振動数域がある.これに対して,振動発電デバイスが効率よく機能する振動数範囲は,ばね下振動数域の10~20Hzであったため,この振動数域に卓越振動を有する部材を選定することにした.実験では,主桁,検査路,対傾構,横構など様々な箇所に加速度計を設置し,一般車走行に伴う振動性状をモニタリングした.その結果,横構部材の卓越振動数が20Hz付近にあることがわかり,実際に振動発電デバイスを設置して出力電圧を計測したところ,低消費電力の小型無線機を使用してデータ送信するだけの発電量を有していることを確認できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究における本年度の研究計画は,以下のようになっている. ①橋梁振動により発電,蓄電できる振動発電デバイスの開発を行う(2019-2020年度),②振動発電デバイスの橋梁への設置位置の検討を行う(2019年度),③床版の加速度を計測し,積分により最大変位を記録できる電池稼働のデバイスを開発する.また,磁歪材料をセンサーとして,橋梁床版下に設置し,橋梁上を走行する大型車両の荷重を推定する(2019-2020年度). これに対して,各進捗状況は以下のようになっている. ①の振動発電デバイスの開発については概ね達成できているが,蓄電技術の開発に遅れが出ている.また,計測したデータを外部環境へ送る方法として低消費電力の通信方法として何を使用するのか検討が必要である.②の振動発電デバイスの橋梁への設置位置の検討については,横構部材に振動発電デバイスを設置することにより,低消費電力の小型無線機でデータを送信するだけの発電量が得られることがわかった.③については,橋梁上を走行する車両の荷重を推定する方法として,対傾構の上支材位置から床版変位を計測することで荷重を推定する手法を構築することができた.また,④として2021年度に計画していた劣化した床版を対象とした数値解析による劣化度を評価する方法について,計画を前倒しして,解析ソフトDIANAを用いた有限要素解析によるコンクリート床版と主桁の部分モデルを作成し,パラメータ解析を行うことで劣化床版の荷重-変位関係を解析的に明らかにすることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の推進方策およびその課題を以下に列挙した. ①橋梁振動により蓄電できる振動発電デバイスの開発を行う. 蓄電技術の開発に遅れが出ているため,この技術開発を進める.また,計測したデータを外部環境へ送る方法として低消費電力の通信方法としてLPWAのIM-920,Lora,Sigfoxのいずれを使うのか検討が必要である. ②床版の加速度を計測し,積分により最大変位を記録できる電池稼働のデバイスを開発する. 車両が走行した際に床版における加速度が小さいため,精度よく変位を算出できるのか不明な点がある.現状では,加速度からの積分だけでなく,床版変位を簡単に計測できる方法を検討する必要がある.
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Research Products
(7 results)