2019 Fiscal Year Research-status Report
Welding Residual Stress and Fatigue Performance Improvement in Narrow Part between Vertical Stiffener and Longitudinal Rib of Steel Plate Deck
Project/Area Number |
19K04577
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
廣畑 幹人 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (50565140)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 鋼床版 / 溶接 / 残留応力 / 疲労 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,疲労き裂の発生が多く報告されている道路橋鋼床版を対象に,特に狭隘な構造の床版端部の垂直補剛材と縦リブの間の領域について,溶接残留応力の性状を解明するとともに耐疲労性の向上を目指す. これまでに,対象領域である道路橋鋼床版の端部垂直補剛材と縦リブの間の領域をモデル化した小型供試体を作製し,溶接施工実験ならびに溶接残留応力の測定を実施した.また,供試体の作製プロセスを熱弾塑性解析によりシミュレーションし,溶接残留応力の傾向を確認した.その結果,垂直補剛材と縦リブ溶接部の間隔を100mmとした供試体では,それぞれの溶接止端部における残留応力は,互いの溶接の影響を受けないことがわかった.溶接止端部から50mm程度離れた,垂直補剛材と縦リブの中間地点では,互いの影響を受けて応力が高くなることを確認した.この結果から,垂直補剛材あるいは縦リブの溶接部を起点とする疲労き裂については,それぞれの残留応力の影響を考慮する必要がなくなる可能性が示唆された.ただし,外力作用による応力については,垂直補剛材と縦リブが近接する状態の影響を明確にする必要があり,今後の検討課題とする. 一方,狭隘領域に適用できる高周波誘導加熱装置を用いて局所加熱実験を実施し,溶接残留応力が低減される可能性を示した.今後,局所加熱プロセスのシミュレーションを行い,残留応力低減のメカニズムを明確にし,適切な加熱条件を探索する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた小型モデルの溶接残留応力分布の解明は概ね達成することができた.シミュレーションの精度に改善の余地があるため,継続的に検討する.一方,局所加熱による溶接残留応力の低減実験を行い,その効果を確認することができた点も順調に進展していると言える.今後は,シミュレーションによる残留応力低減メカニズムの説明と,疲労実験に着手できるため,進捗状況に問題はないと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
小型モデルにおける溶接残留応力シミュレーションの精度向上を図るとともに,局所加熱による残留応力低減メカニズムの解明に着手する.また,疲労実験を行い,残留応力低減が耐疲労性の向上に及ぼす影響を評価する.さらに,荷重載荷時の応力性状を踏まえ,対象構造の耐疲労性評価手法の確立を目指す.
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