2022 Fiscal Year Annual Research Report
溶射が施された鋼材の腐食メカニズムの解明と補修技術の開発
Project/Area Number |
19K04581
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
麻生 稔彦 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (30231921)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 溶射 / 腐食 / 補修 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は実橋梁における腐食状況調査による知見をもとに,アーク溶射とガスフレーム溶射の表面性状を観察および促進試験により付着した塩分を測定することで,溶射工法による塩分付着特性を検討する.その結果,表面形状はアーク溶射が封孔処理を施した場合においても高い粗度を確認できた.表面塩分は測定器の検出限界を超えていたものの,電気伝導率はガスフレーム溶射の方が低い傾向にあった.また,溶射橋梁の補修にあたっては,残存溶射皮膜の除去が必要となる.一般的にはブラスト処理が想定されるが,設備が大がかりとなるため,ここではレーザークリーニング機による溶射被膜除去性能の適用を検討した.今回の実験条件のなかでは,皮膜除去性能は2000WCWレーザーのみ実用的な効率を示した.一方,溶射被膜除去にCWレーザーを適用する際の問題点として,(1)熱影響が大きいため,影響は母材表面に達し薄板では変形が生じる,(2)照射器と対象物が遠い距離(焦点距離700㎜)による施工では,エネルギーが小さく,期待した効率は得られない等の問題点が明らかとなった. 研究期間を通じて,(1)実橋梁における腐食調査および腐食環境調査,(2)促進試験による溶射鋼材の腐食進展状況の観察,(3)腐食した溶射鋼材の促進試験による補修効果の検討を実施した.本研究は、溶射橋梁の長寿命化を実現するための研究であり、溶射後の腐食過程の解明と補修方法の検討に主眼をおいた.本研究の成果は単に橋梁にとどまらず,防食方法として溶射が施された鋼構造物への応用が可能であろう.
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