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2020 Fiscal Year Research-status Report

Study on the ultimate compression strength properties of corroded built-up member

Research Project

Project/Area Number 19K04587
Research InstitutionAkashi National College of Technology

Principal Investigator

三好 崇夫  明石工業高等専門学校, 都市システム工学科, 准教授 (40379136)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 玉田 和也  舞鶴工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (00455148)
高井 俊和  九州工業大学, 大学院工学研究院, 助教 (00759433)
岩坪 要  熊本高等専門学校, 生産システム工学系ACグループ, 教授 (60290839)
Project Period (FY) 2019-04-01 – 2023-03-31
Keywords組立部材 / 腐食 / 耐荷力 / 残留応力 / 磁歪法 / 経年鋼材 / 有限要素法解析 / 文化財
Outline of Annual Research Achievements

昨年度入手した撤去組立材の溝形鋼,レーシングバーから引張試験片を採取して,引張試験を実施した.同組立材は,1900年頃に製作された非常に貴重なものであり,現代の鋼材とは製造方法も異なることから,機械的特性のほかに,耐荷力に関連する種々の材料特性を調べるため,Vノッチシャルピー衝撃試験,硬さ試験,化学成分分析,結晶粒度試験,サルファプリント試験,非金属介在物試験,撤去材溝形鋼の部材軸方向の残留応力計測を実施した.残留応力は,切断法に加えて,経年鋼材への適用性を検討するため,非破壊計測法である磁歪法も適用し,両者の結果を比較した.磁歪法においては,応力と電圧の関係を表す校正曲線を取得するため,引張試験によるキャリブレーションも実施した.また,組立材の圧縮強度等の評価方法を把握するため,設計条項に関する調査も行った.さらに,2019年度の現地調査で,上路式鋼アーチ橋の組立材からなる鉛直材のレーシングバーに腐食に伴う消失が見られたことから,同部材を対象とする有限要素モデルを構築して有限要素法による耐荷力解析と座屈固有値解析を実施した.
結果として,鋼材の引張強度は現代のSS400を下回り,炭素含有量が低いため,SM400と比べて柔らかく,明確な上降伏点が見られない場合もあった.また,硫黄やリンの含有量が現代の鋼材に比べて高く,硫黄成分の線状偏析も認められた.非金属介在物試験結果としても,硫化物系介在物の清浄度が卓越していた.Vノッチシャルピー試験結果からは,破面遷移温度が0℃を上回る場合も見られ,SM400と比べて著しく低い低温脆化特性を示した.残留応力計測試験結果からは,溶接部材に比べて残留応力が小さく,しかも不規則な分布形状を示すことが明らかとなった.磁歪法による残留応力計測結果と切断法による計測結果は現時点では原因は不明であるが,かなり異なるものとなった.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度は,当初予定していた引張試験,残留応力計測と有限要素法解析の一部について実施できた.
引張試験に関しては,来年度以降の耐荷力解析に必要となる,応力-ひずみ曲線に加えて,関連する材料試験も併せて実施することができたため,応力-ひずみ曲線形状に及ぼす化学成分の影響などについても把握できた.
当初予定していた,断面欠損過程の残留応力計測に関しては,残留応力計測の結果,溝形鋼の残留応力の大きさは引張成分,圧縮成分とも,溶接製作部材に比べて全般的に小さく,今後解析的な検証が必要となる可能性はあるものの,耐荷力に及ぼす残留応力の影響は限定的とみられるため,実施しない方向で検討している.
有限要素法解析については,昨年度までに溝形鋼をシェル要素,レーシングバーをはり要素でモデル化して,汎用有限要素法解析ソフトMarcを用いた耐荷力解析を行い,その耐荷力特性に関する知見を得ている.本年度は,汎用有限要素法解析ソフトMarcを用いて,昨年度の実橋調査において,レーシングバーの腐食に伴う消失が認められた組立柱を対象に,溝形鋼とタイプレートをシェル要素,レーシングバーをトラス要素でモデル化し,部材長の1/1000倍の最大たわみを有する正弦半波として初期たわみ形状を与えることにより,耐荷力解析を実施した.しかし,年度末にMarcをインストールした計算機が故障したため,適用要素に関連する組立柱のモデル化の検討が進んでいない.一方で,汎用有限要素法解析ソフトAbaqusを用いて,初期たわみと残留応力を考慮した座屈固有値解析を実施し,初期たわみや残留応力を考慮しなくとも,得られる結果に差のないことを確認することができた.以上の状況により,概ね順調に進んでいると考えている.

Strategy for Future Research Activity

本年度は,有限要素法による組立柱の耐荷力解析を中心として,下記の検討を進める予定である.
(1)組立柱の有限要素モデル化について,レーシングバーをそれぞれシェル要素,はり要素,トラス要素でモデル化した場合の耐荷力挙動の相違に関する検討
(2)本年度計測された残留応力に基づいて,同分布のモデル化やその有無が組立柱の耐荷力に及ぼす影響に関する検討
(3)組立柱の腐食箇所(溝形鋼の腹板,フランジ,タイプレート,レーシングバーなど)を変化させた場合の耐荷力の把握を目的としたパラメトリックスタディ,断面形状や構造形式(山形鋼+タイプレート,溝形鋼+レーシングバー+カバープレートなど)が異なる組立柱の調査と耐荷力解析
(4)レーシングバーやタイプレートと溝形鋼との接触やレーシングバー,リベットの有限要素モデルに関する検討

Causes of Carryover

科研費分担者の所属校,大学あるいは代表者の所属校での打ち合わせを予定していたが,新型コロナウイルスの感染拡大に伴い,各高専,大学とも出張が自粛されたため,電話等による打ち合わせに切り替えた.また,組立材を持つ高齢化鋼橋の現地調査や,同橋を管理する地方公共団体での図面,設計計算書等の資料収集も困難な状況となった.このため,予定していた旅費が消化できない状況となっている.同様に,学会やシンポジウムについても,新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて,相次いで対面形式からオンライン開催に変更されたため,宿泊費を含む旅費の発生がなくなり,研究費が消化しきれない状況が生じている.次年度についても引き続き,学会やシンポジウムのオンライン開催,出張自粛等が継続されるとみられるため,繰り越された経費については,本研究に関するパソコン等の購入,汎用有限要素法ソフトのライセンス更新等に充てる予定である.

  • Research Products

    (4 results)

All 2021 2020

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results,  Open Access: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] 我が国の道路橋設計基準における組立柱の耐力条項に関する調査2021

    • Author(s)
      三好崇夫
    • Journal Title

      明石高専研究紀要

      Volume: 63 Pages: 1-8

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] 溝形鋼を用いた組立圧縮材の耐荷挙動について2020

    • Author(s)
      岩坪 要, 小田七海, 三好崇夫, 高井俊和, 玉田和也
    • Journal Title

      鋼構造年次論文報告集

      Volume: 28 Pages: 102-108

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 初期不整を考慮した組立柱部材の座屈固有値に関する基礎的検討2021

    • Author(s)
      小嶋悠太,高井俊和
    • Organizer
      令和2年度 土木学会西部支部研究発表会
  • [Presentation] 組立圧縮材の設計と耐荷力挙動について2020

    • Author(s)
      岩坪要, 小田七海, 三好崇夫, 高井俊和, 玉田和也
    • Organizer
      令和2年度 土木学会全国大会 第75回年次学術講演会

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Published: 2021-12-27  

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