2020 Fiscal Year Research-status Report
Deformation mechanism of the tunnel lining due to the deterioration of surrounding ground and the reflection on the tunnel design
Project/Area Number |
19K04594
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
崔 瑛 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 准教授 (60583797)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 長期安定性 / トンネル / 地震 / 劣化 / 内部侵食 / 膨潤性地盤 / 浸透 / 変状 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は,膨潤性地盤がトンネルの長期安定性に及ぼす影響,トンネル~土境界における内部侵食の発生状況,地山の劣化がトンネルの地震時挙動に及ぼす影響の3つの課題について取り組んできた. ①膨潤性地盤がトンネルの長期安定性に及ぼす影響については,浸水模型実験を実施し,トンネル周辺地盤の膨潤性地盤の膨潤に伴う覆工や周辺地盤の力学挙動の変化について検討を実施した.その結果,膨潤性地山の膨潤に伴い,覆工に作用する応力が大幅に増加し,覆工に作用する応力分布も大きく変化することが分かった.さらに,これらの変化は膨潤性地盤の膨潤特性,および位置,周辺地山の力学特性に大きく影響されることが分かった. ②トンネル~土境界における内部侵食の発生について,地盤のみ,トンネル~土境界における透水状況をそれぞれ計測できる装置を製作し,境界地盤における流速や内部侵食の発生状況等について検討した.その結果,トンネル~土境界では流速が早く,内部侵食が発生しやすい環境にあることが分かった.実トンネルにおいても,トンネル周辺に浸透流が継続的に存在する場合,内部侵食の発生により土砂が流失し,土の強度が低下することで覆工に建設時と異なる塑性圧が作用する可能性があると言える. ③地山の劣化がトンネルの地震時挙動については,内部侵食や周辺地盤の風化などに起因する地山の部分的な強度低下がトンネルの地震時挙動に及ぼす影響について二次元アルミ振動台実験を実施した.地盤材料はアルミ積層体により再現し,劣化領域はアルミ積層体の間隙率を相対的に増やすことで異なる劣化度合いをモデル化した.実験結果により,局所的な地盤強度の低下により,地盤およびトンネル覆工の力学挙動が大きく変化する結果が見られた.さらに,トンネル覆工に発生するひずみの分布と劣化領域の位置との相関関係を明確にできた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は,膨潤性地盤がトンネルの長期安定性に及ぼす影響,トンネル~土境界における内部侵食の発生状況,地山の劣化がトンネルの地震時挙動に及ぼす影響の3つの課題について,それぞれ取り組み,当初の予定より進んだ部分と当初の予定からスケジュールが変更された部分があるが,総じて順調に進んでいる.以下に具体的な理由を示す. ①膨潤性地盤がトンネルの長期安定性に及ぼす影響については,まず膨潤試料に対する膨潤試験と一軸圧縮試験し,異なる地盤材料の膨潤特性と強度特性について明確にした.その後,膨潤と強度特性がそれぞれ異なる膨潤性材料を選定し,浸水模型実験を実施した.具体的には膨潤性地盤の位置と範囲を変更させた地盤を作成した後,水を浸透させ,浸透に伴うトンネルと周辺地山の挙動について観察を行った.今後は膨潤性地盤の範囲,周辺地盤の力学特性,浸透方向等による影響について更なる検討を行う予定である. ②トンネル~土境界における内部侵食の発生について,地盤のみ,トンネル~土境界における透水状況をそれぞれ計測できる装置を製作し,境界地盤における流速や内部侵食の発生状況等について検討した.実験結果により構造物表面の粗度を変化させることで,境界における水みちの形成や細粒分の流出による地山の劣化を低減させることができることが分かった. ③地山の劣化がトンネルの地震時挙動に関する二次元アルミ振動台実験では,地山に生じた劣化領域の位置と規模,覆工のみに発生したき裂がトンネルと周辺地山の力学挙動に及ぼす影響について検討した.結果,トンネルの地震時挙動は地山劣化と覆工劣化に応じて異なる応答を示し,さらに劣化位置ともある程度相関関係を示した. 以上の理由により,本研究は概ね予定どおり,進んでいると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,今まで実施した3つの課題を引き続き実施し,劣化の種類,範囲,劣化の程度とトンネルの変状パターンの相関,トンネル~境界における水みち対策,トンネルの劣化パターン~覆工の地震時変状の相関等について統計的にまとめる予定である.以下に項目別にその詳細を示す. 【①劣化の種類とトンネルの変状パターンの相関】ここでは引き続き,浸透模型実験および模型実験に対する有限要素解析を実施し,トンネル建設後水の浸透等に伴う周辺地山の膨潤,風化および内部侵食がトンネルの作用する荷重等に及ぼす影響について検討する.これの結果を系統的にまとめ,膨潤・侵食・風化など劣化の種類と,劣化の範囲および程度がトンネルの変状形式に及ぼす影響を明確にする.同結果により,トンネルの変状パターンからその変状の原因を推測できる推定手法の開発にも発展させていく予定である. 【②トンネル~土境界における水みち対策】ここでは,引き続き浸透試験によりトンネル~土境界における内部侵食の発生状況や,その主な影響要因について検討し,さらに水みちの形成やそれの伴う内部侵食の低減対策について検討する予定である. 【③トンネルの地震時挙動に基づく変状パターンの推定方法の提案】ここでは,周辺地山および劣化領域の相対的な強度特性,劣化領域の位置と規模等に着目し,引き続き実験および有限要素解析を実施する予定である.その結果をまとめ,地震時および地震前後のトンネルの変状パターンから,周辺地山もしくは覆工の劣化パターンの推定方法を提案する予定である.
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Research Products
(3 results)