2019 Fiscal Year Research-status Report
固有異方性を有する地盤の動的挙動の解明とその予測モデルの高精度化
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19K04598
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上田 恭平 京都大学, 防災研究所, 助教 (60649490)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 固有異方性 / 飽和砂地盤 / 遠心模型実験 / 液状化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、液状化に代表される地盤の動的挙動を対象に、固有異方性を人為的に変化させることにより、地震時の地盤応答に及ぼすその影響を定量的に評価することを目的とする。2019年度は、飽和成層地盤を対象に、地盤の動的挙動に及ぼす固有異方性の影響を解明するため、遠心力場での模型振動実験を実施した。実験には京都大学防災研究所の遠心力載荷装置を用い、ケース間で異なる固有異方性を実現するため、実験用の剛土槽を異なる角度(0度、45度、90度等)に傾斜させて乾燥砂(豊浦標準砂)による給砂を行った。なお、給砂時の障害とならぬよう、剛土槽の左側壁は取り外し可能な仕様となっている。給砂後、間隙流体により飽和を行うことで模型地盤の完成となる。 本研究では、作製された模型地盤の固有異方性を正確に把握することが重要となるため、加振前から加振後に至るまで、ベンダーエレメントを用いて地盤内のせん断波速度の計測を連続的に行った。この際、鉛直・水平二方向にベンダーエレメントを設置し、固有異方性を有する地盤の伝播方向の違いによるせん断波速度変化を計測した。加振中から排水過程における地盤応答は、加速度計、間隙水圧計、レーザー変位計により定量的に把握した。その結果、堆積角度に応じて振動中の応答だけでなく、過剰間隙水圧の消散過程においても固有異方性の影響が無視できないことが示された。また、振動中における異方性の影響は、入力加速度振幅、もしくは過剰間隙水圧の上昇量に大きく左右されることも明らかとなった。ただ、せん断波速度と堆積角の間には明瞭な関係性を見いだせなかったため、今後さらに研究を進めることとする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の進捗状況としては、おおむね順調に進行しているものと思われる。この理由として、当初の研究計画通りに、豊浦標準砂を用いた一連の遠心模型実験を実施できたこと、および堆積角度に応じた固有異方性が地盤の動的挙動に及ぼす影響を加速度や水圧応答から明らかにできたことが挙げられる。ただし、研究実績の概要でも述べたように、ベンダーエレメントによるせん断波速度計測には改善の余地があるものと考えられるため、今後の研究課題とする。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画通り、2年目は豊浦砂とは粒子形状や粒度分布が異なる地盤材料を対象に遠心模型実験を実施し、新たに提案する固有異方性を有する土の構成モデルの妥当性検証のためのデータの蓄積を図る。また、遠心模型実験の結果を参照データとして、二相系の多孔質体理論に基づく動的有効応力解析手法の検証を実施し、固有異方性を有する地盤の動的挙動の再現性を確認する。より具体的には、申請者らが既に提案している静的かつ単調載荷条件下での土の要素挙動を対象にした固有異方性モデルを二次元の有限要素解析法に導入し、模型実験の再現シミュレーションを実施する.
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Causes of Carryover |
設備備品費・消耗品費が当初の想定よりも若干低く抑えられたためであり、この分は次年度の実験で用いる消耗品の拡充費用に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)