2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K04601
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
伊藤 健一 宮崎大学, 国際連携センター, 准教授 (90524695)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 液固比バッチ試験 / 溶出リスク / 酸性硫酸塩土壌 / 加速変質 / 酸性化 / エージング / 黄鉄鉱 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で提案する水/土壌比を変えた液固比バッチ試験による土壌からの重金属溶出濃度の予測は、泥岩・頁岩などの堆積岩で確認できた。一方、自然由来重金属含有土壌のうち酸化により変質・酸性化する酸性硫酸塩土壌では、酸化に伴い溶出量が増減するため、液固比バッチ試験の結果と長期溶出挙動に乖離が生じる。そこで、対象土壌の変質前、変質過程、変質後に液固比バッチ試験を行って得たパラメータを時間軸に沿って複合的に適応することで、変質を伴う土壌の長期的な溶出挙動を予測することを考案した。 一般に酸化の変質処理や影響評価には過酸化水素が用いられるが、過剰酸化となる。したがって、まず安定した変質処理となる加速変質試験方法の確立を目指した。JGSスレーキング試験参考の加水+110℃炉乾(絶間)を繰り返す1)乾湿繰り返し処理、加水し湿潤状態80℃で養生する2)80℃湿潤養生、室温で加水-自然乾燥を繰り返す3)屋内曝露の3方法について、土丹、頁岩、変成岩と異なる種類の土壌を用いて比較検討した。 試験の結果、1)加水+110℃炉乾>2)80℃湿潤養生>3)屋内曝露の順に強く変質した。また、1)では、温度だけでなく乾湿の繰り返しによる酸化促進効果がみられた。しかし、加熱により硫酸等の揮発に伴う土壌pHの上昇が生じ、温度設定に過大を残した。一方、2)では変質過程の目安となるpH-ECの挙動が異なる土壌間でも同じ傾向を示し、土壌種別によらず適用可能な方法と推察された。今後、徐々に変質する3)と比較して、加速変質試験が常温環境下での長期変質と同軸線上にあることを証明する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
試験は順調に実施している。しかし、当初予定していた試料のうちの一部について、調達が遅れていたところ、コロナの影響が加わり、その入手時期の見通しが立っていない。また、コロナ対応および遅延業務負荷等から、3月以降の業務負荷により試験研究作業についても遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
予定していた一部試料が未調達であるため、過去の試料等より、本研究に供することができるものの再選定を進めている。 また、作業の遅れについては、加速変質処理方法について目途が立ってきたことから、令和2年度には予定していた状況まで推進できると考えている。 令和2年度前半で実用的な加速変質試験法を提案し、その方法を各種土壌試料にて行い、パラメーターを取得し、曝露試験やカラム試験等の動的溶出試験結果と対比させながら、重金属溶出リスクモデル構築を目指していく。
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Causes of Carryover |
申請では、自研究室内にある原子吸光光度計の重金属分析について、研究に必要な低濃度分析を補うため初年度にフレームレス設備を導入する予定で予算を立てた。しかし、交付決定額では十分ではなかったため、現在、学内共同利用機器を使用している。その初年度の設備導入がなかったため、次年度使用額が生じた。分析について学内共同利用機器での対応が可能となったため、次年度以降は、試料採取のための旅費、より増える作業のための消耗品費、あるいは人件費などに活用し、本研究の発展に役立てるよう、有効活用していく。
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