2022 Fiscal Year Annual Research Report
Bioinformatics analysis of the evolution strategy for wild-type Microcystis
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19K04610
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Research Institution | Shizuoka Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
牧野 育代 静岡理工科大学, 理工学部, 准教授 (00542060)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 厚志 日本大学, 工学部, 教授 (90361138)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アオコ / Microcystis / メタボローム解析 / 遺伝子解析 / 光合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度における本研究では,アオコ検体に対するメタボローム解析と遺伝子解析を同時に実行した.アオコ構成種に含まれている分子量1,000以下の主に候補化合物を対象としたメタボローム解析の結果,2014年及び2015年と比較して糖類の種類と数の変動及び減少が確認された.また,どの遺伝子がどれくらい動いているかを対象にした遺伝子発現解析では,光化学系Ⅰと集光アンテナに関連する遺伝子群の発現レベルに減少傾向が観察された.光化学系Ⅰは,光エネルギーを生体が使える化学エネルギーに変換する役割を果たす電子伝達チェーンの一部を担当しており,細胞内でのエネルギー通過であるATP(adenosine triphosphate)を生成する機能を有している.このように一連の光合成の遺伝子群によって合成されたATPは重炭酸イオンの還元である炭素固定を可能にする.それら一連のプロセスは深く関連しており,今回,多糖類の減少と代謝傾向の一致したことから,対象地のアオコにおいては,光を生体が使えるエネルギーに変える役割を持つ遺伝子の動きが低下している様子がうかがえた. 一方、研究対象地での降水量,気温,水温,栄養塩濃度,貯水量,日射量の観測データは,過去数年間で大きな変動を示さなかった.また,全研究期間を通じて,研究対象地の定点観測地点での優占種はMicrocystisであったことがDNA解析,遺伝子解析及び顕微鏡観察により確認された.それらの結果は,Microcystisが生成する可能性があるバイオフィルムの成分としての細胞外多糖の質と量に何らかの変化が生じていることを示唆している.現在,これらの変化が将来のアオコ形成や生態系にどのような影響を及ぼすのかについての詳細な解析を進めている.
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Research Products
(3 results)