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2019 Fiscal Year Research-status Report

Proposal of management technique for coastal and harbor structures covered with wave dissipating blocks including influence of change in wave climate and hydraulic performance of structures

Research Project

Project/Area Number 19K04617
Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

荒木 進歩  大阪大学, 工学研究科, 准教授 (80324804)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 小竹 康夫  東洋建設株式会社(総合技術研究所), 鳴尾研究所, 副所長 (70599472)
Project Period (FY) 2019-04-01 – 2022-03-31
Keywords消波ブロック / 越波 / 波力 / 変形 / ライフサイクルコスト / 維持管理
Outline of Annual Research Achievements

沿岸域に設置される消波ブロック被覆構造物の合理的な維持管理を行うために,本研究では消波工の変形が生じても消波機能が十分に保持されているという観点から補修基準を設定し,過度な維持管理を行わないことによりライフサイクルコストの削減が可能な維持管理手法の提案を目指す。消波ブロック被覆構造物の消波機能としては,越波量と消波工背後の本体工への作用波力の2つに着目する。
今年度はまず初めに,消波工の変形に伴う越波流量(単位幅,単位時間当たりの越波量)の変化を,断面2次元水路での水理実験により測定した。施工時の初期断面と,消波工の変形量を4段階に変化させた被災断面1~4の5断面に対して越波流量を測定した。同一の入射波高に対して,変形が中程度の被災断面2あるいは3において越波流量が最大になるケースが多く,変形量が大きい被災断面4では越波流量が小さくなった。これは,被災断面4では消波工天端の低下により消波ブロック背後にある本体工の壁面の露出が大きくなるため,入射波の水塊が構造物背後(=越波)ではなく,鉛直上方に打ち上がる割合が増加したためと考えられる。これにより,消波工の変形が進行しても越波量が増加し続けるわけではないことが示された。
さらに,入射波条件および消波工断面から越波流量を算定する簡易モデルを提案した。算定モデルは消波工前面での入射波高,消波工斜面および天端の長さをパラメータとして入力し,透水や摩擦等の考慮は十分ではないものの,初期断面および被災断面において実験で測定された越波流量をまずまずの精度で算定可能であること,および消波工断面の変形に伴う越波流量の変化の傾向を再現可能であることを確認した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

当初の計画として,今年度は,まず消波ブロック被覆構造物の越波量測定を行い,その後,次年度の前半までの予定で消波工背後の本体工への作用波力測定を行う予定であった。以下に実施状況を時系列的に示し,進捗状況がやや遅れている状況を説明する。
越波量の測定については,実験準備および予備的な検討を7月下旬から開始し,お盆の期間を挟んで順調に測定を行い,10月上旬に越波量測定実験を終えた。測定した越波量データを整理した後,12月上旬より本体工への作用波力測定の実験準備および予備的な検討を始めた。本格的に測定を始めると,波力測定のための分力計の設置方法および本体工模型の設置方法に起因する不具合が発生した。この不具合の解消に時間を要し,測定を再開できるのが3月中旬以降になったが,新型コロナウィルスの感染対策のため,今年度中の実験再開は見送った。そのため,今年度は本体工への作用波力の測定結果を得ることができていない状況となった。
しかし,当初より波力測定実験は次年度にかけて実施する予定であること,および新型コロナウィルスの状況が改善されれば,すぐにでも波力測定実験を実施可能な状態であることを勘案すると,進捗状況の遅れはわずかであり,次年度中には後れを取り戻せると考えている。

Strategy for Future Research Activity

次年度は,まず昨年度中にデータ測定を開始できなかった波力測定実験を開始する。新型コロナウィルスの状況にもよるが,今年度の前半で波力測定実験を終える予定である。年度の後半は,研究代表者の荒木を中心として,測定済みの越波量および波力のデータをもとに,消波ブロック被覆構造物の消波工部分に対する合理的な補修限界基準の設定を行う。入射波高が大きくなり,消波工の変形が進行するにつれて,越波量は増加の後,減少に転じることは測定済みのデータから把握している。一方,消波工背後の本体工への作用波力は,消波工の変形が進行するにつれて一様に増大し続けると予想される。これらより,越波量が大きくなり過ぎず,作用波力も大きくなり過ぎないような消波工の状態(変形断面)で補修を行うと,ライフサイクルコストが最小になることが期待される。消波ブロック被覆構造物のライフサイクルコストの算定を行うことにより,合理的な補修限界となる消波工の状態(変形断面)を見出す。
また並行して,研究分担者の小竹を中心として,実際の施工事例をもとに,種々の程度の消波工変形断面からの補修費用の算定,および種々の補修方法(原形復旧を行う,消波工の天端高さを増して補修する,消波ブロックの質量を割り増しして補修する,などの可能性を検討する)に対する補修費用の算定を行う。この結果を前述のライフサイクルコスト算定の際に用いる。
その後,最終年度にかけてライフサイクルコストの算定手順に,気候変動に伴う海象条件の変化による来襲波浪出現確率分布の変化を取り入れてライフサイクルコストの算定精度向上を図り,合理的な維持管理手法の提案を目指す。

Causes of Carryover

当初は入射波の作用による消波工の断面変形を測定する水理実験を行う予定であったが,消波工の変形断面をモデル化して表現する既往の研究成果を用いることに変更した。この変更により,消波工の変形断面を測定するための機器の購入が不要になったため,物品費に残額が生じた。また当初は,水理実験は研究代表者の荒木が所属する大阪大学大学院工学研究科にて実施する予定であったが,研究開始後に,大阪大学の造波水路の施設を詳細にチェックすると,不規則波の造波能力が少し不足する懸念が生じたため,研究分担者の小竹が所属する東洋建設株式会社の鳴尾研究所にて実施することに変更した。これにより,謝金の支払予定が変更となり,さらに鳴尾研究所の水路での模型設置に作業を要したため,その他の支払いが発生した。以上の結果として,次年度使用額が0より大きくなった。
次年度は実験データの整理,およびライフサイクルコスト算定のためのデータ処理が多くなる予定である。また次年度は,情報収集の機会として参加予定の各種会議(学会)の開催の多くが,新型コロナウィルス感染拡大防止のため中止またはオンラインでの開催になることが予想されるため,旅費の使用額が予定より少なくなる可能性がある。これらのことから,物品費の残額が多く生じたことを踏まえて,データ整理・処理を効率的に行えるような物品の購入を行う予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2019

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)

  • [Journal Article] A STUDY ON EXPECTED DAMAGE AND LIFE CYCLE COST OF STRUCTURES CONSIDERING WAVE EXTREME VALUE DISTRIBUTION2019

    • Author(s)
      SHIBUTANI Yoko、KOTAKE Yasuo、ARAKI Susumu
    • Journal Title

      Journal of Japan Society of Civil Engineers, Ser. B3 (Ocean Engineering)

      Volume: 75 Pages: I_917~I_922

    • DOI

      10.2208/jscejoe.75.I_917

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2021-01-27  

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