2019 Fiscal Year Research-status Report
Numerical investigation on stability of gravel bags in flooding as flexible riverbank protection works and a new design method
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19K04623
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
福田 朝生 中央大学, 研究開発機構, 機構准教授 (00709694)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 袋詰玉石工 / 固液混相流解析 / 屈撓性 / 個別要素法 / 河岸保護 / 構造 / 配置 / 安定性解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
袋詰玉石とは 20cm程度の石礫数トンを網で包んだものである.袋詰玉石工は,複雑な河岸地形でも施工ができ河岸侵食を抑制し,また,空隙があるため環境面からも生物の生息場として優れている.しかし,袋詰玉石工は適切な設計法がなく,流出してしまう事例も多い.その要因として,袋詰玉石工の水流中の挙動は現地で計測することは困難であり,袋詰玉石工の流出する際の状況がよくわかっていないため流出機構が不明な点が挙げられる.また,水理実験などでも,袋詰玉石工の移動の様子などは確認できる可能性はあるが,袋詰玉石工どうしに作用する力や,袋詰玉石工に作用する流体力は水理実験で計測することは困難である.したがって,このような屈撓性材料の袋詰玉石工の水流中の安定性を考察するためには,数値シミュレーションによる計算力学的なアプローチが不可欠である.一方で,水流と固体運動の解析も容易ではない現状であり,これまでに水流と屈撓性を有する袋詰玉石工の連成解析は構築されていない.これに対し,研究代表者はこれまでに水流と種々の形状の石礫の三次元運動を考察できる固液混相流解析技術を開発してきた.本研究では新たに小球を連結させ紐のような屈撓性挙動を説明できる個別要素法の接触力のモデルを構築した.このモデルを用いて網をつくりその中に,小球を連結し石礫の形をした石礫のモデルを入れることで,屈撓性をもつ袋詰玉石工の挙動を説明できる新しい数値解析モデルを構築した.さらに,このモデルは,水流との連成解析が可能であり,水流による袋詰玉石工の変形を説明できる数値解析モデルである.本研究は,このモデルを用いて実際に多摩川で流出した袋詰玉石工を対象に解析し,本モデルで実際の袋詰玉石工の流出状況を概ね説明できることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では初年度に,屈撓性を有する袋詰玉石工と水流の連成解析が可能な数値解析技術を構築し,さらに,このモデルを用いて実際の袋詰玉石工の流出事例を対象に解析しモデルの説明力について確認する予定であった.本研究ではこれまでに,初年度の計画通り,袋詰玉石工と水流の連成解析が可能な数値解析法技術を構築した.また,多摩川の実際の袋詰玉石工の流出事例を対象に構築したモデルで解析し,流出した袋詰玉石工の挙動を概ね説明できることを確認することでモデルの妥当性を確認している.このことから,初年度は,概ね当初計画通り研究が進んでいると評価できる.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの,現地の袋詰玉石工の流出事例の分析より,袋詰玉石工は,中に詰めた石礫が容易に移動することにより,袋自体が移動してしまうことが想定されている.このため袋詰玉石工の安定性を向上させるためには,如何に内部の石礫の移動を抑制するかが重要になると考えられる.2年目の主な検討内容としては,袋詰玉石工の内部の石礫の移動を抑制するように,仕切りを設けるなどいくつかの袋の構造を提案し,袋詰玉石工周囲の流れと石礫の移動を詳細に分析し,内部の移動を抑制する効果的な袋の構造を検討する. 2年目後半から3年目にかけは,実際に施工する際の効果的な配置について検討する.袋詰玉石工が配置される個所は,落差があるなど,複雑な三次元流れとなっている箇所が多い.本研究では固液混相流解析によって,水流の三次元構造の分析も行い,水流の構造とこれらに対応した効果的な袋詰玉石工の配置を検討する.
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Causes of Carryover |
当初予定では,モデル開発に要する計算資源を確保するためのスパコンの利用費を計上していた.しかし,想定よりも少ない計算資源の利用でモデルの開発ができたため,次年度使用額が生じることとなった.2年目以降の研究においてスパコンの利用費を増額できれば,計算の高速化や計算ケースの増加などが可能となるため,これに伴う研究の質の向上が期待できる.このため次年度使用額については,スパコン利用費の増加や,計算ケース増加に伴うデータ保存用のハードディスク購入等で利用する予定である.
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Remarks |
2019年11月 土木学会令和元年度全国大会第74回年次学術講演会優秀講演者 タイトル「帯工袖部の侵食対策としての袋詰玉石工の構造・配置検討」 2019年6月 河川技術に関するシンポジウム優秀発表者賞 タイトル「改良された袋詰玉石工の洪水時の安定性評価技術の開発とこれを活用した袋詰玉石工の構造・配置の技術的検討」
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