2021 Fiscal Year Annual Research Report
Quantification of organic phosphorus release from sediment with salinity changes
Project/Area Number |
19K04629
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
篠原 隆一郎 国立研究開発法人国立環境研究所, 地域環境保全領域, 主任研究員 (00610817)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 気候変動 / 底泥溶出 / 分子サイズ / 有機態リン / 成層 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は気候変動に伴う底泥溶出の変化について研究を行ったものである。気候変動によって、水温の上昇、海面の上昇などを引き起こすことなどが予想されており、本研究はそれらの予想される環境変化に対して、底泥環境の変化を明らかにするものである。具体的には、以下の通りである。 ① 底泥間隙水を採取し、それを新規性の高い手法で分析を行った。具体的にはサイズ排除クロマトグラフィーシステム(Agilent社製)と、ICP-MSを組み合わせることで、底泥間隙水中の有機態リンのサイズ分布を定量化した。底泥溶出には、特に有機態リンの分子サイズが重要であると考えられるが、リンがどの程度のサイズの分子に存在しているかを明らかにした。具体的には、有機物は数万Da以上の分子サイズと、数百~3000Da程度の分子サイズで構築されていることが明らかになっているが、リンに関しては、極めて低分子サイズに集中して存在していた。 ② 近年の日射量増加・水温上昇に伴って変化する、霞ヶ浦における植物プランクトンの光合成速度の変化について、新しいシミュレーションモデルを構築することで明らかにした。実際に構築したモデルによると、近年の日射量によって、光合成速度は13%程度増加するが、それ以上に水質変動の影響が大きいことが明らかになった。 ③ 霞ヶ浦における水中の水温変動に関して、鉛直一次元モデルを構築し、それを用いて成層・非成層の日変化を再現し、気候変動に伴って変化する物理環境を明らかにした。
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