2023 Fiscal Year Annual Research Report
Precise interpretation of Induced Polarization (IP) structure in groundwater flow system by tank experiments
Project/Area Number |
19K04631
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
小森 省吾 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (60611192)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | IP法電気探査 / 地下水 / 比抵抗 / 充電率 / 全波形 / スペクトル |
Outline of Annual Research Achievements |
地下水資源量把握のための高精度な地下可視化技術の開発に際し、従前の電気探査法による比抵抗構造の解明に加え、IP(誘導分極)効果を利用した探査手法(IP法電気探査)が脚光を浴びつつある。しかしながら、現状では、IP法電気探査で得られる地下のIP特性(充電率)構造は、比抵抗構造との対応関係を明確に説明することが難しい。本課題では、その原因の1つに地下構造の不均質性があると考え、実際の地下水流動フィールドにおいてIP法電気探査を実施するとともに、得られた比抵抗・IP特性構造の特徴を、不均質性を模擬した室内実験で検討する。 今年度は、室内実験用の水槽装置を作成するとともに、室内実験用にカスタマイズした小型電流送信・電位受信ケーブルシステムを作成した。様々な条件(間隙水導電率、粘土含有量等)の制御下におけるIP全波形記録の取得に向けた基礎実験を実施し、問題なくデータが取得可能であることを確認した。現在も引き続き水槽実験を実施中である。 全波形記録の波形解析については、新しい解析手法の導入により、時間領域データのデータをスペクトル変換することが可能となった。これにより、スペクトル変換後のIP特性データを用いた逆解析によりIP特性の空間分布推定が可能となった。今後、水槽実験で得られるIPデータの解析を進め、構造の不均質性が地下のIP特性に与える影響についての体系的理解を目指す。 本研究課題の実施にあたっては、スケールサイズが非常に小さい水槽実験特有の問題点(電極-媒質間の接地抵抗・容量成分、ノイズ等)を段階的に解決にすると共に数値計算技術の向上も新たに加わったことで、地下水資源把握を目的としたIP法電気探査技術の高度化に繋げることができた。今後、高度化されたこれらの技術を水槽実験・フィールド実験に精力的に適用し構造解釈に関する知見を蓄積することで、地下可視化の精度向上が期待される。
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