2019 Fiscal Year Research-status Report
A Comprehensive Method of the Inspection and Diagnosis for Walkway Surfaces based on the Ride Quality of Electric Mobility Scooters
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19K04634
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| Research Institution | Kitami Institute of Technology |
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Principal Investigator |
富山 和也 北見工業大学, 工学部, 准教授 (70589580)
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| Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | ハンドル型電動車いす / 走行路面 / 乗り心地 / 歩道 / ラフネス / テクスチャ |
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| Outline of Annual Research Achievements |
近年，シニアカーに代表されるハンドル型電動車いす（以下，「電動車いす」）が，高齢者や障がい者の移動負担を軽減するための歩行補助用具として着目されているが，既存の歩道路面評価は手動の車いすや歩行者を対象としたものが主であり，誰もが安心して利用できる歩行空間の形成には電動車いすを対象とした路面評価が必要となっている．
本研究の目的は，路面に起因する電動車いすの振動特性を明らかにし，路面凹凸を測定し把握する「点検」と点検結果に対する「診断」を一体化した，歩道路面評価システムの開発である．今年度は，歩行空間の維持管理上重要となる路面特性について明らかにするため，電動車いすの走行試験を実施し，路面凹凸に対する電動車いすの振動応答について検討を行った．
その結果，サスペンション付き電動車いすに生じる上下振動は，車体側ではメガテクスチャ（路面波長50～500 mm）の，車軸側ではマクロテクスチャ（路面波長0.5～50 mm）の影響を受けることが明らかとなった．ここで，車体側の固有振動数は，人の着座時における上下振動の高感度域4～8 Hzの振動であり，メガテクスチャが電動車いすの乗り心地に影響するものと示唆された．
また，各試験路面の路面特性指標と電動車いすの上下振動との相関関係を確認したところ，路面テクスチャの代表的な指標である平均プロファイル深さ（MPD：Mean Profile Depth）と，電動車いすの振動の間に高い相関関係がみられ，その一方で，代表的な路面のラフネス指標である国際ラフネス指数（IRI：International Roughness Index）との相関はみられなかった．以上より，電動車いすは，車道を走行する自動車と異なり路面のラフネス成分に対する感度が低く，歩行空間の路面評価にはテクスチャの評価が必要であることが明らかとなった．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は，計画通り，歩道路面の凹凸と乗り心地の実態を把握するための電動車いすの走行試験を実施し，走行試験で得られた結果より，歩行空間の維持管理上重要となる路面特性について明らかにすることができた．また，路面の三次元計測について，高性能全球測位衛星システム（GNSS）を組み合わせた地上型レーザースキャナによる方法を考案し，歩道においても迅速かつ高精度な路面データを得るとともに，走行経路と路面凹凸の正確な対応付けが可能となった．一方，年度末に計画していた乗り心地の体感評価試験については，新型コロナウイルス感染拡大防止のため，次年度以降へ持ち越しとなった．
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| Strategy for Future Research Activity |
次年度は，路面凹凸に起因する電動車いすの振動特性をモデル化するため，路面凹凸を入力データとし振動加速度を出力データとすることで，制御理論に基づく入出力間の関係を周波数解析により同定する．電動車いすの振動モデルは，国際ラフネス指数（IRI）に代表される2自由度のクォーターカーモデルなど様々なモデルが提案されているが，本研究では，IRIを参考に，比較的単純な2自由度振動モデルから始め，実測された振動加速度データとの相関関係を確認しながら，自由度やバネ定数および減衰係数を変更し構築する計画である．また，振動モデルの妥当性を検討するため，乗り心地の体感評価試験もしくは人体の全身振動基準に基づく解析を実施し，走行路面を考慮した電動車いすの乗り心地モデルを開発する計画である．
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| Causes of Carryover |
現有のII型電動車いすおよびI型をレンタルし走行試験を行ったところ，車種ごとの振動特性に差異があることを確認したため，路面調査に使用する電動車いすの選定にあたり，多様なモデルの検討が必要となった．そのため，今年度導入予定となっていた電動車いすを，体感乗り心地試験以降に導入することとし，研究経費の繰越しが発生した．
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