2022 Fiscal Year Research-status Report
Elastic Operation of City Planning System and Local Vitalization - a Exploration of the city planning of towns and villages in prewar days
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19K04638
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
出村 嘉史 岐阜大学, 社会システム経営学環, 教授 (90378810)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 町村都市計画 / 地方計画 / 郊外観光開発 / 都市経営 / 大垣 / 関 / 高山 / 犬山 |
Outline of Annual Research Achievements |
第一に、本研究の主要部分である町村都市計画を実施した都市を対象に、個別特徴を把握するケーススタディを前年度までに引き続き進めた。とくに犬山において木曽川の木材流送産業が大井ダム建設を機に失われた後、花街が形成される様を描き、これを発表した土木学会中部支部研究発表会では、優秀発表賞を受賞した。さらに、関に都市計画が導入されようとした経緯を多角的な視点で捉え、実施された都市排水基盤事業が都市計画技師も含めた総合体制で行われたことが明らかにされた。 一方、前年までに明らかにした大垣の都市形成の事例を、7月にオンラインで開催されたIPHS(国際都市計画史学会)にて発表し、城下町由来の都市形態が、新規産業基盤を形成させようとする民間の意志で、水陸インフラの接続に至るまで柔軟に転換されていく様と、それに対する調整の都市計画の立場を報告した。また、前年までに執筆を進めていた大垣における水陸接続に着目した都市形成過程が、土木学会論文集に登載され、公表された。 以上および前年度までの研究成果をとりまとめ、各都市の近代以降の都市形成プロファイルを把握して町村都市計画実施の実態を描くと、以下の結論を得る。すなわち、岐阜や大垣のような早い段階で都市計画を始めた地方中規模都市と、町村都市計画として対応を始めた都市において、都市計画が関わる様相が異なる。中規模都市計画では長期的なビジョンを貫徹させる立場が明確にあり、その旗印として都市計画が利用された傾向が強い。これに対し、町村都市計画事業は、いずれも明確な都市計画決定に至らないまま実践されており、広域交通ネットワーク形成のビジョン実現のため、また郊外の森林公園とアプローチ形成のため、あるいは都市排水基盤実現のために、都市計画制度のうち技術者の援用が盛んにおこなわれ、産業振興のインフラ形成事業はむしろ地域の実現可能な方法を複合して実現されていった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度が研究期間の最終年度であり、概ね研究の成果が出るところまで至った。また土木学会中部支部研究発表会では受賞もされた。一方で、研究期間中のコロナ禍の影響もあって最終成果を学会などへ発表するところまでは至っていない部分もあり、研究基金を次年度(2023年度)へ残す判断をした。
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Strategy for Future Research Activity |
都市計画制度の円熟期において登場した町村都市計画制度について、今回は焦点を当てて研究を進めたが、結果として当初仮説で示したとおり、1930年代以降の都市計画制度は、部分的に援用されつつもむしろ地域振興的な都市経営の動きが主体となって、必要なインフラを計画し実現していることが把握された。この点は、より広い視野の流通基盤や産業の動向、周囲との連携について着目してはじめて可視化される事象と考えられ、今後の研究としては、ネットワークと集積点(ちまた、と表現できる)についての新規研究の科研費助成を受けることになったので、鋭意進めていきたい。
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Causes of Carryover |
今年度が研究期間の最終年度であり、概ね研究の成果が出るところまで至ったが、研究期間中のコロナ禍の影響もあって最終成果を学会などへ発表するところまでは至っていない部分もあり、研究基金を次年度(2023年度)へ残し、積極的に成果の整理と発表ができるようにした。
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