2019 Fiscal Year Research-status Report
時間変動パターンの本来的特質の解明と発時刻ベースの時間変動係数逆推定モデルの開発
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19K04639
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤田 素弘 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90229013)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | OD交通量推定 / 時間変動係数 / 利用者均衡配分 / 時間帯別交通量 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は日OD交通量を既知とし,時間帯別交通均衡配分理論をベースとして,時間変動係数と時間帯別OD交通量を観測リンク交通量から逆推定するモデルの開発と精度向上を目的として行うものである.今年度はまず,観測リンク数が時間変動係数逆推定の既存モデルにどのような影響を与えるかや,実際の推定時間帯別OD交通量を交通シミュレーションに与えた場合の実用性の検討などの先行研究の課題に取り組みつつ,以下の主な2つの項目について研究を行った. a)発時刻ベースで直接予測できる,残留交通量考慮型の時間変動係数逆推定モデルの開発 b)時間変動パターンの過剰変動を抑制できる,変動抑制を考慮した新たなモデル開発 次に,上記a)については,まず残留交通量を考慮した時間帯別交通均衡配分モデルを下位問題に活用して,上位問題の残差平方和の目的関数も前後の時間帯の残留交通量を考慮したものに工夫することで,発時刻ベースで時間帯別OD交通量を直接逆推定できるモデル開発を行うとともに,基本モデルと同様に,できるだけゾーニングを細分化した適用方法を考えた.そして,このゾーニングの細分化によって生じる,時間変動パターンに過剰変動について考察した.この過剰変動が生じるのは,利用する観測交通量が,近距離と遠距離の両方のODペアで,同時利用されることが一因として考えられる.この変動を抑制するには,上位問題に,時間変動パターンの変動量を表す項を追加すればよいとして,これをさらに組み込んだモデルを開発した.このモデルには,ゾーニングとして7地域25変数を適用して,適用計算した結果,日OD交通量の少ない地域ペアで部分的に生じていた時間変動パターンの過剰な変動を,重み係数の導入によって適度に抑制することができ,さらにリンク交通量の推定精度を改善できることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記研究実績の概要において示した通り、今年度は目標のa)とb)について基本的なモデリングとその実用性についての成果が得られてきている。この成果発表は次年度中に行う予定になっており、当初の予定通りとした。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策については以下のようになる。 1)発時刻ベースで直接予測できる、変動抑制を考慮した残留交通量考慮型の時間変動係数逆推定モデルの更なる改良 実際には時間変動係数のゾーニング方法を見直してより精度向上が期待できるモデルとすることや、日OD交通量の少ないODペアで部分的に生じている時間変動パターンの過剰変動を抑制するためのより効果的なモデリングを工夫することが挙げられる 2)時間変動パターンの変動特性の統計的解析と変動抑制効果の指標化 道路交通センサスの実OD交通量データをもとに統計的に時間変動パターンと日OD交通量と時間変動パターンの過剰変動状況を分析することで、時間変動パターンの本来の変動特性を考察して、自然な変動抑制の指標生成を目指す。
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Causes of Carryover |
今年度は新たな理論研究が多く人権費がほとんど発生しなかった。高速処理PCを予算等の理由で次年度で購入することにしたため。
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