2019 Fiscal Year Research-status Report
Estimation of 3D displacement and its accuracy in airports and dikes by analyzing satellite SAR images and GPS data
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19K04640
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
須崎 純一 京都大学, 工学研究科, 准教授 (90327221)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 合成開口レーダ / 三次元変動推定 / GNSS / 時系列SAR / 上昇軌道 / 下降軌道 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本国内に存在する種々の土木インフラは老朽化が進み、維持管理に要する費用が加速度的に増加すると予想されており、早期の異常検出手法が求められている。本研究では、土木インフラの中でも空港、堤防に着目し、それらの定期測量の負担を大幅に軽減することを目的とする。上昇軌道(南→北)画像、下降軌道(北→南)上で取得された衛星合成開口レーダ (synthetic aperture radar: SAR) 画像に加えて、電子基準点等の外部データを利用し、構造物由来の散乱体を抽出することで、相対座標系及び絶対座標系での土木インフラの垂直・水平変動を推定する方法、及び変動の不偏標準偏差を測量学に基づいて推定する方法を確立する。 2019年度は、三次元変動を推定する手法を確立し、その有用性を検討した。時系列SAR解析技術であるPersistent Scatterers Interferometry SAR (PSInSAR)を、上昇軌道、下降軌道で取得された時系列画像群各々に対し適用し、衛星視線方向に沿った一次元変動量を二つ得る。それらとGPSデータから得られる変動量を観測値として、残差の二乗和を最小化することで地盤や地物の三次元変動を推定する手法を設計した。空港と堤防への適用を念頭に置いて、関西国際空港と兵庫県円山川を対象地域として選定し、提案手法の有効性を検討した。その結果、特に関西国際空港では、提案手法により三次元変動推定で得られた垂直変動量は、一次元変動推定で得られたものよりも高精度であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度の計画通り、上昇、下降軌道の衛星SAR画像とGPSデータの統合による三次元変動速度の推定手法を確立し、また空港と堤防を対象に提案手法を適用し、その有効性を検討した。関西国際空港で検証用のGPSデータから得られる変動量と比較した結果、三次元変動推定で得られた垂直変動量は、一次元変動推定で得られたものよりも高精度であることが分かった。また円山川では河川堤防の天端、法面の標高値を推定した。航空機レーザデータと比較した結果、堤防天端では提案手法の有効性を確認できたが、法面ではできなかった。天端は舗装されている一方、法面は植生で覆われていることが多いために、PSInSARによる変動推定が左右されたことが一因であると考えられる。このことは提案手法で得られる変動速度の推定精度は地物の状況に依存するものの、一定強度の後方散乱を生じる地物であれば、一定の推定精度を達成できることを示唆していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
最小化問題の定式化の際に、各変動量に対し等しい重みを仮定する方法と、異なる重みを設定する方法の二種類の最小二乗法が考えられる。理論上は異なる重みを設定する方法が高精度推定を達成できそうであるが、重みの計算方法自体が研究課題として存在する。今後は、衛星画像とGPSデータとに混入している誤差の大きさを観測値から推定し、それを観測方程式における重みとして取り込んで再度観測方程式を解くことで変動速度の不偏標準偏差を推定する手法を検討する。特に上昇軌道と下降軌道から得られる変位量の間で、またそれらと外部データが示す変動速度の間で整合しない状況が発生する時に、単に三次元変動速度を推定するだけでなく、どのデータに大きな誤差が混入しているか推定する。
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Causes of Carryover |
衛星画像の購入を見送り、また旅費も発生しなかったため、次年度使用額が発生した。今後は主に国際学会参加費用、渡航費、論文掲載料、英文校正料を中心に支出する予定である。
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Research Products
(6 results)