2020 Fiscal Year Research-status Report
日本版「冬の厳しさ指数」の提案 -雪環境変化を見据えた予防保全型マネジメント-
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19K04647
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
白川 龍生 北見工業大学, 工学部, 准教授 (50344552)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 冬の厳しさ指数 / 冬期の道路防災力 / 積雪断面観測 / 記録的な大雪 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、冬期の道路防災力を高めるため、「降雪量」「気温」「風速」といった冬期道路交通の機能確保につながる気象予測データを基に、日本の道路交通を取り巻く環境を踏まえた新しい「冬の厳しさ指数」(予防型の指標)を提案し道路政策に供することである。特に2020-2021シーズンは日本海側で記録的な大雪となったが、近年の地球温暖化に伴う極端な気象現象の影響を指標に反映することを目指している。 そこで本研究は、厳しい冬期特性を反映し、さらに予防保全を指向した新しい「冬の厳しさ指数」を提案し、これを除雪費策定など道路政策に供することで、交通障害・雪氷災害に対する道路防災力向上につなげたいと考えた。 本研究では北海道をモデル地域とし、以下のように研究を進めている。 i.気象庁による過去の冬期気象データ(降雪量・気温・風速)を整理し、極端な気象現象(豪雪、暴風雪)の頻度分析と確率分布の当てはめ、精度評価を行った。さらに、特異なシーズンについては、メッシュ農業気象データを利用した積雪深および積雪水量の広域分布についても計算を行った。また、気象庁の観測網を補完する気象観測を北海道北見市で実施している。 ii.近年の地球温暖化に伴う雪氷環境の変化を指標として数値で表現するため、その基礎データを得るために積雪断面観測を実施する。申請者が所属する北見工業大学の敷地内で11月~4月までの期間に定点観測、融雪出水直前期(2月下旬)に広域観測をそれぞれ実施し、長期予報や全球気候モデルの予測結果との検証を行っている。得られた観測結果はインターネットを通じ準リアルタイム発信し、研究成果の一部として地域社会へ還元する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
過去の冬期気象データから、極端な気象現象の頻度分析を進めている。新たにメッシュ農業気象データの使用も開始している。また、気象観測・積雪断面観測ともに予定通り実施している。しかし、コロナ禍のために夏季に予定していた文献調査や現地訪問調査を実施することができなかった(次年度に実施予定)。
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Strategy for Future Research Activity |
学識有識者や官公庁の協力を得て、北海道をモデルとした冬期道路実態調査及び道路予算分析を行う。特に記録的な大雪シーズンとなった2020-2021シーズンの分析を進める。 既往の指標と本研究で新たに提案する指標とを比較し、冬期道路交通の機能確保を主体とした地域の防災力点検と評価を実施する。 冬期気象・積雪断面の観測ならびに気象データの統計分析について引き続き実施する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のために調査計画を見直したため、旅費をはじめ全体に使用額が予定より少なくなった。当該年度に見送った調査は2021年度に実施予定のため、繰り越し後、適正に執行する。
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Research Products
(4 results)