2019 Fiscal Year Research-status Report
地域プラットフォームを基盤とした学習社会の形成策に関する研究
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19K04654
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
羽鳥 剛史 愛媛大学, 社会共創学部, 准教授 (30422992)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 地域プラットフォーム / 地域活性化 / 地域学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
地域プラットフォームにおける地域活性化に向けた学習行動の組織内・組織間要因を明らかにするための実証調査を実施した。具体的には、愛媛県西予市の地域づくり交付金事業を取り上げて、27個の地域づくり組織(述べ622名のメンバー)を対象として、組織学習に関わる諸要因を用いた質問紙調査を実施した。本調査から得られたデータに対してマルチレベル分析を実施し、地域づくり活動に向けた学習傾向の差異を説明する組織内・組織間要因を検証した。その結果、地域づくり組織の活動傾向の差異は、個人レベル・組織レベルともに組織コミットメント(メンバーの組織に対する帰属意識や組織との関りの相対的強度)と強い関連性を持つ傾向が示された。さらに地域づくり組織間の組織コミットメントの差異は、各組織における信頼関係や地域からの支持傾向と関連することが示され、地域づくり組織の学習や発展を促す上では、組織内における信頼関係に加えて、地域との協力関係を築く等、地域全体として取り組んでいく必要性があることを示唆する結果が得られた。 さらに、上記27組織に対するヒアリング調査を実施し、各組織の活動実態や課題、組織体制や地域特性等を調べた。その結果、リーダーシップ、メンバー属性の多様性、組織活動の自律性、行政や組織間の連携度等に関して組織間で相違が見られた。そこで、これらの諸変数に関して各組織を類型化すると共に、組織全体の活動成果との関連性を分析した。その結果、組織体制の自律性やメンバーの多様性が組織活動の独自性や積極性と関連する一方、自治体や行政との連携が組織活動の継続性と関連することを示唆する結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地域づくり組織の学習メカニズムに関する実証調査・分析を実施する等、当初予定していた課題について概ね順調に取り組むことが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の研究成果を踏まえて、地域プラットフォームにおける学習メカニズムに関する更なる理論的・実証的分析を実施する。具体的には、リーダシップ、組織コミットメントや組織風土、地域のソーシャルキャピタル等の条件に着目し、地域内の学習が促進されるための政策分析を行い、その効果や条件を理論的に明らかにする。
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