2019 Fiscal Year Research-status Report
住民が求める景観とは?-人工知能を活用した景観形成支援システムで明らかにする
Project/Area Number |
19K04657
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
山本 義幸 愛知工業大学, 工学部, 准教授 (10580508)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 景観形成 / 合意形成 / 人工知能 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は,「三次元地理空間情報を用いた多視点景観画像作成システムの開発」と「人工知能を活用した景観形成支援システムの開発」に取り組んだ。多視点景観画像作成システムの開発では,空間情報のビューワーにおいて,カメラ位置を設定し,そこからの視野範囲を画像化する基本モジュールを作成した。これでは,複数のカメラ位置を設定し,その間を補間したカメラパスを作成できる。これによって,任意の位置から景観画像を取得することが可能となった.しかしながら,求める景観画像が撮れるカメラ位置を自動的に決定できた方が無駄な画像を作成せず,効率がよい。本研究では,求める景観画像は人工知能の畳込みニューラルネットワーク(CNN)の処理過程(中間層)を分析し明らかにすることにしている。よって,今後は,CNNの中間層から明らかにした景観の志向を考慮してカメラ位置を自動決定できるシステム開発を計画している。 景観形成システムの開発においては,中間層を可視化する仕組みを実装した。もともとニューラルネットワークは,脳の情報処理過程をモデル化したものである。よって,この中間層を分析することで,住民の景観の志向を明らかにすることが本研究の骨子である。しかしながら,感性と中間層の定量的分析が未だ十分に進んでおらず,2020年度に,引き続き取り組む計画である。具体的には,先行研究で示されている感性の定量的指標と中間層の画像との相関性の分析等を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初は,2019年度に多視点景観画像作成システムを完成し,景観形成支援システムのベース部分を完成する予定であった.しかしながら,多視点景観画像作成システムでは,任意の視点から景観画像を作成可能にしたが,有用な景観画像を自動的に特定し作成するまでには至らなかった.また,景観形成支援システムでは,住民の景観の志向をCNNの中間層から明らかにするコア部分を作成予定であったが,感性と中間層の分析が十分に進まず,3割程度の進捗となった.
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度においては,引き続き,「多視点景観画像作成システム」と「景観形成支援システム」の開発を行う.多視点景観画像作成システムの開発では,特定の条件を満足する景観画像を得ることができるカメラ位置を自動的に決定する仕組みを実装する.これにおいては,空間情報に属性を付加して,それらのパラメータを変数として計算に組み込み,カメラ位置を決定する.景観形成支援システムの開発では,CNNの中間層から住民の景観に対する志向を明らかにする.これにおいては,景観の定量指標(フラクタルやサリエンシーなど)と中間層の画像の統計解析を行う.さらに,年度後半では,開発したシステムを住民に使用してもらい,その適用性について検証し,適宜,システムを最適化する.
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Causes of Carryover |
システム開発に必要なライブラリと処理装置の購入ならびに開発補助者への人件費への使用を計画していた。しかしながら,必要としていたライブラリをオープンソースで入手したため,購入費用と開発補助者への人件費を執行しなくてよくなった。さらに,データ圧縮方法の改善で処理装置を購入しなくてよくなった。あいまって,システムで利用するデータが手持ちのものでは十分ではないことが分かった。そのため,予定していた費用の執行をとりやめ,システムで利用するデータの購入に充てることとした。そのデータは,システムが完成してから購入する予定で,まだ完成していないため,今年度以降の購入予定である。
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