2019 Fiscal Year Research-status Report
機械学習による水中病原体と指標微生物の濃度相関解析法の精緻化
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19K04661
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
加藤 毅 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (40401236)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 大輔 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (80550368)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 相関解析 / 水中病原体 / 指標微生物 / 打ち切りデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
水利用における微生物学的安全性を担保するための水質衛生基準値の設定には,指標微生物濃度と病原体濃度との相関関係を適切に定量化することが重要である.しかし,病原体濃度のみ非検出値があると仮定し,同時分布モデルの最尤推定アルゴリズムを定式化した.この最尤推定問題は制約付き最適化問題である.制約はドメイン知識に対応した符号制約である.目的関数は,トビットモデル.3個の項からなる.ひとつは回帰係数の事前分布である.標準的な回帰分析に倣って,正規事前分布を採用した.2番目の項は観測されたデータに対する尤度関数,3番目の項は観測されなかったデータに対する尤度関数である.この3番目の項が検出限界までの積分を含んでいるため,単純な最適化問題ではなくなってしまっている.この最適化問題は変数変換を行うと凸問題という数学的に扱いやすい等価な形式になることを発見した.さらに,その凸問題は,次の性質を持つ正則化経験リスクの形式に等価変換できることを導いた.それは強凸係数 1 の正則化関数と平滑係数 1 の凸損失関数となっている.すると,機械学習の分野で開発されてきた多くの最適化の枠組みを利用することができる.本研究では,正則化経験リスクに等価変換された最尤推定問題を解くために確率的双対座標上昇法を採用した.これにより,理論的に最適性が保証された必要な反復数が判明した.多くの最適化の枠組みではステップサイズというハイパーパラメータの値を手動で調整しなければならないが,確率的双対座標上昇法はステップサイズすら必要ないため,つねに安定して最尤推定が可能になり,かつ,最適化のために調整しなければならないハイパーパラメータがないアルゴリズムを開発することに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り,数値的に安定したアルゴリズムを開発することに成功したので.
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度の開発したアルゴリズムを使い,実際の水質データ,指標濃度,病原体濃度で,尤度最大化は成功しているか,数値的に安定しているか,検証する.また2種類の指標濃度の一報を病原体濃度に見立てて,人工的に非検出値を作り,新しいアルゴリズムで推定した相関係数と,非検出がなかったときの相関係数を比較することで,高精度に相関係数が推定されているか検証を行う.
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Causes of Carryover |
研究を進めていくうえで必要に応じて研究費を執行したため,当初の見込み額と執行額は異なったが,研究計画に変更はなく,前年度の研究費も含め,当初予定通りの計画を進めていく.
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