2021 Fiscal Year Annual Research Report
光ファイバセンサを用いたろ過膜の完全性を常時監視可能な新規手法の開発研究
Project/Area Number |
19K04662
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橋本 崇史 東京大学, 先端科学技術研究センター, 講師 (80735712)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 膜ろ過 / 光ファイバセンサ / 中空糸ろ過膜 / 破断 / 劣化 / 異常検知 / 数値流体力学 / 確率過程 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、膜ろ過浄水施設で考慮されてこなかった破断に至らない劣化によるろ過膜の性能低下影響に関して、実際の浄水施設で長期間使用されて劣化した膜を対象に、気体透過性と微粒子阻止性能の劣化による変化を実験的に評価し、気体透過性の変化から微粒子阻止性能の変化について推定可能であることを明らかにした。気体透過性の増加に伴って微粒子阻止性能が低下していくことから、実処理施設で容易に測定可能な気体透過性を用いて阻止性能への劣化影響を推定可能であることを示した。膜内部の多孔質構造における流れについての数値流体力学を用いた解析より、ろ過膜を透過する流量は、広く指標として用いられている空隙率ではなく、当該流路で最も幅が小さい部分により規定されることが分かった。また、膜の劣化により膜内部の微細構造が変化し、流れが変化することで阻止性能の低下に繋がる可能性が示唆された。 膜の劣化進行に伴う適切な膜交換時期を推定するため、非定常ポアソン過程モデルを用いた異常予測手法を開発し、膜ろ過浄水施設で収集される異常検知データから将来の異常検知頻度と膜交換時期を推定可能であることを示した。 本研究(3ヵ年)を通して、光ファイバセンサ型圧力センサを用いることで膜破断時の膜ろ過モジュール内の圧力変化を捉えることが可能であり、これまで感度が低いことで見過ごされてきたろ過膜破断の常時監視可能性を示した。また、実験およびモデルを用いた解析により、ろ過膜破断時および破断に至らない劣化に起因するろ過膜における流れ及び阻止性能の変化を定量的に明らかにし、従来の完全性試験および新規に開発した上述の手法を用いることで、膜破断時だけでなく膜劣化による性能低下をモニタリング可能であることを示した。 今後、3次元モデルを開発し、多孔質構造での阻止機構を明らかにすることで、より正確な性能低下予測が可能となることが期待される。
|