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2019 Fiscal Year Research-status Report

我が国の道路事業における動物の事故対策とその効果の推計

Research Project

Project/Area Number 19K04671
Research InstitutionNihon University

Principal Investigator

伊東 英幸  日本大学, 理工学部, 准教授 (70434115)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2023-03-31
Keywordsロードキル / GIS / 事故分析 / ホットスポット / エゾシカ
Outline of Annual Research Achievements

我が国は動物との衝突事故防止に向けた道路周辺環境の整備方法や動物用道路横断施設の計画方法、ロードキルデータの収集システムの構築などが未だ確立しておらず、また事故対策実施による効果についても検証されていない状況にある。
これに対し、ロードキルデータの収集システムを構築している諸外国9か国11団体はGlobal Roadkill Networkに所属し、各国のデータベースの構築方法や、分析等へのデータの活用などについて情報公開・共有を行っている。しかしながら、我が国にはこのようなデータベースが未だ構築されていないため、これらの先進的な取り組みを調査し、日本版ロードキルデータベースの構築に向けた検討が重要となる。
また、アジアで唯一ロードキルデータベースを構築し、SNSなどを活用したデータ収集やロードキルマップの公開、事故対策へのフィードバックなどを行っている台湾の行政院農委會特有生物研究中心では、我が国と類似した気候や環境の中で様々な取り組みを行っており、これらの実態調査を通した日本版ロードキルデータベースの検討も必要である。
一方で、我が国では北海道において、エゾシカを中心とした野生動物との事故が多発しており、近年は年間2,000件以上の事故が起きている状況にある。したがって、事故が多発している国道を対象として、道路周辺環境の現地調査を実施するとともに、事故多発地点であるホットスポットにおける事故発生要因を分析して明らかにし、事故対策の効果の検証や、今後の事故対策などを検討していく必要がある。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

2019年度はロードキルデータの収集システムを構築し、Global Roadkill Networkに所属している諸外国9か国11団体に対して、電子メールによるアンケート調査を実施し、その取り組み状況や事故対策等へのデータの活用方法などについて明らかした。その結果、多くの国において市民の協力の下、WEB上のフォームやSNS等を用いてロードキルデータを提供していることや、調査団体のほとんどが専門家による種同定を行っており、収集したデータを活用してロードキルマップの作成を行い、WEB上で公開しているケースが多く見られた。
また、台湾の行政院農委會特有生物研究中心で先進的なロードキルのデータベースの構築と運用を行っている林德恩先生へのインタビュー調査と現地視察を実施し、台湾全域で収集したロードキルデータを活用し、カーナビゲーションへのドライバーへの注意喚起による事故削減や、轢死した野生動物を保管して疫病対策などを実施している実態を明らかとした。
さらに北海道のエゾシカとの事故が多発している国道を対象として、北海道警察から提供された事故データを基に、道路構造や土地利用、事故対策施設などの現地調査を実施しつつ、それらの要因が事故発生に与える影響について、負の二項回帰モデルで比較分析し,北海道エリアにおける路線ごとの地域特性による事故発生要因の特徴を明らかにした。その結果、同じ北海道エリアにおいても、各路線の沿道環境やSPUE(狩猟努力量当りの目撃数)のデータが異なるため、道路照明の設置による影響は共通してみられたが、それ以外の要因に関しては路線ごとに違いが現れることが示された。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究の進め方として、引き続き、諸外国のロードキルデータベースの構築や活用方法に関する現地でのインタビュー調査、現地でのロードキル対策などの調査を行う予定である。
また、我が国においては特に動物との衝突事故が多発している北海道や沖縄県などの国道に着目し、諸外国でのインタビュー調査を基に、動物の事故対策全般(事故発生要因の分析、事故対策全体の検討プロセス、野生動物に配慮した道路の計画方法やミティゲーション方法、事故対策の実施の有無の判断、事故対策の決定方法、事故対策のコスト、事故削減による効果の検証方法、事後調査の実施状況など)について、国土交通省などの管理事務所へのインタビュー調査等を通して実態分析を行い、我が国の制度面や事故対策の問題点と課題を明らかにする予定である。
また、インターネット調査会社を活用し、北海道民を対象として、エゾシカの生態系としての役割や人間との関わり、エゾシカによる食害などを説明した後、仮想市場評価法(CVM)に基づき、エゾシカを事故から防ぐための対策に対する支払い意思額をダブルバウンド方式で尋ね、ワイブル分布の適用による支払い意思額を推計し、エゾシカのロードキルによる社会的外部費用を推計する予定である。
さらに、上記の分析結果などを基に、査読付き論文の執筆や、ロードキルに関するシンポジウム等を実施し、研究成果の社会還元や、ロードキルを減少させるための市民への普及啓発活動なども実施する予定である。

  • Research Products

    (5 results)

All 2020 2019

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (4 results)

  • [Journal Article] エゾシカと車両の事故多発路線を対象とした事故発生要因の比較分析2020

    • Author(s)
      鈴木絢人・伊東英幸・藤井敬宏
    • Journal Title

      環境共生

      Volume: 36(1) Pages: 12-20

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 北海道国道44号の糸魚沢アーチカルバートを対象とした動物用横断施設の利用実態分析2020

    • Author(s)
      鈴木絢人・伊東英幸・藤井敬宏
    • Organizer
      (公社)土木学会第47回関東支部技術研究発表会
  • [Presentation] GISデータから見る石垣島ロードキルの状況と対策2019

    • Author(s)
      辻維周・國分玲実・伊東英幸
    • Organizer
      日本環境共生学会第22回学術大会発表論文集
  • [Presentation] エゾシカと車両の事故多発路線を対象とした事故発生要因の比較分析2019

    • Author(s)
      鈴木絢人・伊東英幸・藤井敬宏
    • Organizer
      日本環境共生学会第22回学術大会発表論文集
  • [Presentation] 北海道のロードキルデータを活用したエゾシカと車両の事故発生件数予測モデルの構築 -環境アセスメントへの活用を目指して-2019

    • Author(s)
      鈴木絢人・伊東英幸・藤井敬宏
    • Organizer
      日本環境共生学会第22回学術大会発表論文集,

URL: 

Published: 2021-01-27  

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