2021 Fiscal Year Annual Research Report
分子設計されたキトサン-L-乳酸塩を経由する新規のL-乳酸製造プロセスの開発
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19K04675
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
赤尾 聡史 同志社大学, 理工学部, 教授 (30448196)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | キトサン乳酸塩 / L-乳酸発酵 / 包括固定化法 / 貧溶媒添加法 / キトサン再利用 / 乳酸アンモニウム |
Outline of Annual Research Achievements |
バイオマスプラスチックであるポリ乳酸の製造工スト低減化には,発酵液からの乳酸精製法の改善が必要とされる.乳酸の精製は,乳酸カルシウム晶析が古典的であり一般的であるが,乳酸カルシウム水溶液の濃縮が必要であり,乳酸を遊離させる工程で石膏が発生する.本研究では,カルシウムの代わりにキトサンを用いた乳酸塩による乳酸精製方法を検討した.乳酸発酵過程では,キトサンを生成する乳酸に対する中和剤として利用する形でキトサン乳酸塩を生成した.ただし,キトサンは用いた乳酸生成菌に対して抗菌性を示したことから,乳酸生成菌を包括固定化することで抗菌性を回避した.次に,培養液中にあるキトサン乳酸塩を沈殿回収する方法として貧溶媒添加法を検討した.貧溶媒としてアセトンを用いることで,水溶液中のキトサン乳酸塩を沈殿回収できることを示した.最後に,キトサン乳酸塩からキトサンと乳酸を分離回収する方法を検討した.アンモニア水中にキトサン乳酸塩を添加することで,キトサンの沈殿と溶液中に乳酸がアンモニウム塩として存在する分離回収を示した.高分子のキトサンを用いたキトサン乳酸塩の場合,キトサンおよび乳酸の回収率はほぼ100%となった.貧溶媒添加法におけるキトサン乳酸塩の回収,あるいは,アンモニア水中におけるキトサンと乳酸の分離回収では,キトサンの分子量が高いと有利であることを確認した.一方で,高分子キトサンを用いたキトサン乳酸塩は,乳酸濃度として約1%程度でほぼ流動性を失うことも確認した.本プロセスで用いるキトサンは,最終工程であるキトサンと乳酸の分離回収工程での回収率が著しく低下しない範囲でキトサンを低分子化しておくことが望ましいと考えられた.なお,回収された乳酸アンモニウムはポリ乳酸の原料に,キトサンは再び乳酸発酵の中和剤として利用可能である.
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Research Products
(2 results)