2021 Fiscal Year Annual Research Report
細菌由来新規キレート物質の大量生産および、めっき廃液からのニッケル回収への利用
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19K04678
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyama College |
Principal Investigator |
篠崎 由紀子 富山高等専門学校, その他部局等, 准教授 (60727113)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | メタロフォア / シデロフォア / ニッケル / めっき廃液 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、細菌が生産するキレート物質(メタロフォア)を用いた金属回収法の開発を最終目標とした検討を行った。これまでに単離したDelftia属細菌No.10株の培養液から、イオン交換など各種担体を用いた中低圧液体クロマトグラフィーによるメタロフォアの精製を行った。精製したメタロフォアを用いて、固相抽出と組み合わせた簡便な方法により、めっき廃液に含まれるニッケルイオンを回収できることを確認した。次にメタロフォアの構造解析を目指して精製を引き続き行ったが、回収できた精製物の量が少なかったため、抽出・精製条件の再検討を行うこととした。今年度は、固相抽出条件の検討と高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による精製を試みた。その結果、培養液1.8 Lから36 mgの精製メタロフォアを得ることができた。NMR測定の結果、Delftia acidovoransで報告されているdelftibactin(*1)の構造と同様に、環状化オルニチンとアルギニンに相当するピークが得られ、構造が部分的に一致することが示唆されたが、文献値とは異なるピークも多数見られたため、構造が異なる新規のメタロフォアである可能性が高い。全体の構造決定のために、引き続き解析を行っている。 また、メタロフォア生合成遺伝子を解析するため、Delftia acidovoransで既に報告されているdel G (*1)の塩基配列情報を参考にプライマーを設計し、No.10株のDNAを鋳型としてPCRを行ったが、複数のDNA断片が増幅したため、プライマーの再検討を行っている。今後は、ランダムに切断したNo.10株のゲノムを、市販の宿主に導入する方法も検討し、メタロフォアの大量生産と、固定化担体の作製を行う。(*1: C W Johnston et al., Nature Chem Biol, 9, 241-243, 2013)
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