2020 Fiscal Year Research-status Report
炭素固定機能の向上に向けた沿岸域の生態系相互作用の解明
Project/Area Number |
19K04679
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Research Institution | Osaka Prefecture University College of Technology |
Principal Investigator |
大谷 壮介 大阪府立大学工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (60554219)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 二酸化炭素フラックス / 沿岸域 / 大阪湾 / DIC |
Outline of Annual Research Achievements |
大阪湾の水質は,行政機関のモニタリング調査によって沿岸・海域について定期的に調査が実施されているが,沿岸域奥部に位置する漁港や港湾における水質の詳細なモニタリングは実施されていない.漁港や港湾は地形的特性,規模,流入する河川・排水の汚染度合等によってその環境特性は多様であり,個々の地点によって水質環境は異なると考えられる.また,漁港や港湾は沿岸域より富栄養化が進行していると考えられるため,植物プランクトンも多く,空気中から二酸化炭素を吸収していることが考えられる.沿岸域における二酸化炭素フラックスに関する研究は進んでいるが,漁港や港湾を対象とした研究事例は少ないのが現状である. 調査は2020年2月,6月,10月に大阪湾沿岸部の17地点の港湾・漁港を対象に調査を実施した.各地点において,多項目水質計を用いて水深,水温,DO,pH,塩分を測定した.各地点の表層水を採水してChl.a濃度,全炭酸(DIC)およびアルカリ度を測定した.持ち帰った水試料を実験室において20℃に設定したインキュベータ内で培養し,水中の一次生産速度と呼吸速度を明暗瓶法にて算出した. 水質項目によって傾向は異なるものの,各地点において水質は季節的,空間的変化していた.また,各季節の地点の二酸化炭素フラックスは兵庫側の港湾・漁港は吸収を示し,尼崎を除く湾奥の地点や大阪南部では放出を示す傾向であった.各地点の水質を用いてクラスター解析による地点の類型化を行ったところ,水質の特徴は各地域の地理的・物理的な特徴と対応していることがわかった.さらに,DIC・アルカリ度が高いグループが二酸化炭素フラックスの吸収を示したことから 港湾・漁港における二酸化炭素フラックスにはDIC・アルカリ度の影響が大きいことが示唆される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大阪湾沿岸域の港湾・漁港における水面の二酸化炭素フラックスについて,季節変化および空間分布のデータを取得することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度は大阪湾の干潟を対象に調査を実施して,今年度は港湾・漁港を対象に二酸化炭素フッラクスの空間的な分布について把握することができた.今後は,海域や流入河川等のデータと合わせて,二酸化炭素フラックスに寄与する要因を把握して,大阪湾の炭素固定機能に関する生態系の相互作用を明らかにする.
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により,当初計画していたよりも調査回数が少なかったため,未使用額が発生した.引き続き,次年度以降も物品購入と旅費に使用する.
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