2019 Fiscal Year Research-status Report
リモートセンシングによる世界主要河川の衛生学的水質評価手法の開発と適用
Project/Area Number |
19K04681
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
真砂 佳史 国立研究開発法人国立環境研究所, 社会環境システム研究センター, 主任研究員 (50507895)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | リモートセンシング / 水質 / 予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,リモートセンシング技術で得られる反射強度データに人口分布,土地利用,経済発展の程度等の社会経済データを加えることで,実測によらない表流水質評価手法の開発を目指す。複数水域でのケーススタディから個々の水域の水質評価モデルを構築し,モデル(説明変数,パラメータ等)を比較することで水質評価の可能性と限界について考察する。さらにすべての水域のデータを統合し,単一のモデルによる多様な水域の水質評価にも挑戦する。 令和元年度は,研究の基盤整備を目的として,モデルの構築に用いるデータの入手可能性を考慮してケーススタディを行う水域を選定した。GEMStat(国連環境計画,全世界),Water Quality Portal(アメリカ地質調査所,アメリカ等),Waterbase(欧州環境機関,EU)等の広域水質データベース,チェサピーク湾(アメリカ),霞ケ浦,東京湾(日本)等の地域水質データベース,衛生データなどを精査し,データの質(水質項目等)や量(測定頻度等)を勘案し,チェサピーク湾をケーススタディサイトとすることにした。あわせて,利用可能な衛星データについて調査し,MODISやLandsatが候補となることを確認した。 また,水質汚染が問題となっている途上国での調査について,入手できる水質データや現地調査の可能性を調査した。しかしCOVID-19拡大の影響で現地視察を行えず,当面この課題は延期することにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19の影響で海外の現地視察や調査を行えなかったが,代わりに研究室で行える調査や分析を進めることにした。全体の進捗は想定通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は,チェサピーク湾でのケーススタディを進め,また次のケーススタディに着手する。各項目の今年度の予定は以下のとおりである。 1)ケーススタディとする水域の選択,データの収集:次のケーススタディ水域の選定を進める。衛星データはチェサピーク湾と同じLandsat 8を基本とする。また,衛星データに加えて使用する社会経済データ(人口,GDP等)について,利用可能なデータベースの探索を進め,データを取得する。途上国における調査については,COVID-19の状況を確認し,可能な範囲で調査を進める。 2)水域ごとの水質評価モデル(個別モデル)の構築:チェサピーク湾のケーススタディを引き続き進める。水質項目としてこれまでの知見の蓄積がある懸濁物質を選択し,衛星データ(Landsat 8 OLI)や水質データの取得・処理を進める。次に,これまで用いられてきた回帰関数を用いたモデルと,機械学習を活用したモデルを比較し,後者の利点や限界について考察する。次に,より基本的な水質項目(BOD,衛生学的水質指標)に対するモデルを構築する。懸濁物質よりモデルの制度が落ちると想定される。それを補うために有効な社会経済データが存在するかを調査し,よいパラメータが見つかればそれを組み込んだモデルに改良する。並行して,1)で選択した次のケーススタディにも着手する。チェサピーク湾で構築したモデルとの比較を行うため,極力使用するデータやモデルの形式をあわせるよう留意する。
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Causes of Carryover |
今年度後半に,途上国でのケーススタディを行うため,対象国研究者との議論や現地視察・調査を行う予定であった。しかし,COVID-19の拡大に伴い海外渡航が禁止されたため,この研究を進めることが不可能になった。次年度感染拡大の状況を注視して再開する予定である。COVID-19の影響が長期間におよぶことが判明した場合は,国内での研究への切り替え,現地での調査を含まない形での研究への変更などを検討する。
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