2020 Fiscal Year Research-status Report
リモートセンシングによる世界主要河川の衛生学的水質評価手法の開発と適用
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19K04681
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
真砂 佳史 国立研究開発法人国立環境研究所, 社会環境システム研究センター, 主任研究員 (50507895)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | リモートセンシング / COVID-19 / 水質 |
Outline of Annual Research Achievements |
MODIS Terra画像に基づいてチェサピーク湾の総浮遊固形物(TSS)濃度を推定するGoogle Earth Engineアプリケーションを開発した。長期アーカイブ衛星データ(2002年から2020年)を現地観測と組み合わせ,湾のTSS濃度の時空間パターンをモデル化して評価した。時系列分析により,TSS濃度が2002年から2020年の間に統計的に有意な減少傾向を示した。湾の60セグメントのうち49セグメントで減少傾向が観察され,チェサピーク湾の水質基準の達成に向けて大幅な進歩が見られたことが示された。また,月単位のTSS濃度の分析によりチェサピーク湾でのTSSの12の主要なピークイベントが確認され,これらは冬の猛吹雪と夏のハリケーンの時期と一致した。 また,インドのベンバナード湖を対象としてCOVID-19拡大に伴う社会変動による水質への影響を評価した。Landsat-8 OLI画像をもとに構築したSPM濃度推定アルゴリズムにより,ロックダウン期間中のSPM濃度はロックダウン前と比較して平均で15.9%減少したことが示された(-10.3%から36.4%の減少,最大8 mg/L)。また,2013年-2020年の各年4月のSPM濃度の時系列分析により,ベンバナード湖の20ゾーンのうち11ゾーンにおいて2020年4月のSPM濃度が最低であり,最大34%の減少を記録したことが明らかとなった。これらの結果により,この地域の社会活動の停滞による湖水の水質改善効果を定量できただけでなく,ラムサール条約の条約湿地であるベンバナード湖の水質保全には人為的活動による汚染の制御が重要であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたチェサピーク湾を対象とした調査を順調に進められたのに加え,COVID-19拡大による水質への影響について解析を行うことができた。後者についてSci. Tot. Environ誌に掲載され,掲載後約1年間で136回引用されており,計画以上の進展があったと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに開発した水質評価モデルを活用し,アジアの大河川河口域の水質を評価する。本研究でチェサピーク湾を対象として開発したモデルと既存の複数モデルを併用し,それぞれのモデルの精度や適用範囲について考察するとともに,各河川水質の経年変化を評価する。また,これまでの成果をまとめて公表する作業も継続する。
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Causes of Carryover |
本年度計画していた海外での現地調査がCOVID-19拡大のため実施できなかったため,関連する研究費の執行を行えなかった。現地での調査を行えるよう準備を進めていたが,感染拡大の現状を鑑み来年度についても現地での調査は実施しないこととした。その代わり,リモートセンシングデータやオンライン等で取得可能なデータを用いた解析に重点を置くこととし,その研究の実施に予算を充当することにした。
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Research Products
(1 results)