2021 Fiscal Year Annual Research Report
リモートセンシングによる世界主要河川の衛生学的水質評価手法の開発と適用
Project/Area Number |
19K04681
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
真砂 佳史 国立研究開発法人国立環境研究所, 気候変動適応センター, 室長 (50507895)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | リモートセンシング / 水質 |
Outline of Annual Research Achievements |
気候変動や人為的な活動が河川の水文状態に影響を与え、沿岸海域に放出される栄養塩や浮遊物質が変化している可能性がある。しかし、この仮説の検証は、観測データの不足や世界的に受け入れられている浮遊物質濃度(SSC)アルゴリズムが利用できないことなどが障害となり、困難である。ここでは、利用可能な 10 の衛星 SSC アルゴリズムを用い、アジアの主要 10 河川の河口における SSC の傾向(2000-2020 年)を分析した。その結果、黄河、パール川、インダス川の河口では SSC が減少し、ナルマダ川、ガンジス・ブラマプトラ川の河口では増加する傾向が見られ、空間的に異なる傾向があることが確認された。一方、残りの河川の河口では、有意な傾向は見られなかった。流域の河川流量、ダム、土地利用の変化は、それぞれ単独では不十分であるが、併用すると観測された SSC の傾向を再現することができた。この結果は、アジア沿岸では気候変動よりも人為的な活動が海洋生態系を脅かしていることを示唆している。 大規模水域の水質を空間的・時間的スケールで正確に予測することは、SDGsのGoal 6において要求される目標である。リモートセンシングデータと社会経済指標を組み合わせることで、インドの228の湖の水質を評価するモデルを構築した。その結果、これらのデータを共にモデルで使用することにより、水域のBODと大腸菌群数の予測精度が向上し、今後の研究において時間的な幅を持たせることができることが示された。また、用いた機械学習モデルの中では、ランダムフォレストモデルが、対象となる両基準に対して最も良い性能を示した。
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