2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K04685
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田尻 清太郎 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (10466013)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 鉄筋コンクリート / 袖壁 / 破壊形式 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに,鉄筋コンクリート造袖壁付き柱の主要な破壊形式として,袖壁圧壊型,一体破壊型,境界部破壊型を定義するとともに,袖壁付き柱がそれらのいずれの破壊形式となるか推定する判定法を提案してきた。 本年度は,この中で最も靭性に乏しく実際の建物の設計で避けるべき破壊形式である一体破壊型について,その破壊性状を精査したところ,袖壁と柱にほぼ同時期に大きな損傷が集中し,急激に耐力低下を起こす極めて脆性的な破壊性状を示す試験体以外にも,袖壁の圧縮ストラットの圧壊と思われる損傷が先行し,比較的緩やかな耐力低下を示す試験体も存在することが判明した。そこで,一体破壊型と分類される袖壁付き柱について,さらに袖壁先行破壊が生じるか否かで細分化して扱うこととし,袖壁先行破壊となる条件について検討を行った。 検討の結果,袖壁の柱のそれぞれについて推定せん断耐力/作用せん断力を略算し,両者の比率の大小関係により,袖壁先行破壊となるか判定できる可能性があることが分かった。そこで,その判定法を精査すべく,一体破壊型と判定される試験体2体を設計し,一方は袖壁先行破壊を目指し,もう一方は袖壁先行破壊を起こさないよう目指し,これらの試験体の加力実験を行った。 加力実験では,反曲点高さが当初の想定と異なったことからいずれの試験体も一体破壊型とはならず袖壁圧壊型となった。しかし,両者の破壊性状は大きく異なっており,袖壁先行破壊を目指した試験体は最大耐力後比較的緩やかな耐力低下を生じたのに対して,袖壁先行破壊を目指さなかった試験体は最大耐力後急激な耐力低下を生じた。このことから,一体破壊型となるか否かに関わらず,袖壁先行破壊しやすい部材は緩やかな耐力低下を起こしやすく,そうでないものは脆性的な破壊を生じやすいことが推察された。
|