2020 Fiscal Year Research-status Report
鉄筋コンクリート造2次壁付き部材の弾塑性解析手法の構築に関する基礎研究
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19K04688
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
松井 智哉 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20402662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊藤 大樹 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00225715) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 鉄筋コンクリート構造 / 袖壁付き柱 / 静的加力実験 / 曲げ変形 / せん断変形 / 剛性低下率 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、2次壁付き部材を有する架構の弾塑性フレーム解析手法の構築することを目標とし、その基礎的研究として(1)構造実験による二次壁付き部材の剛性、変形性状の把握と(2)2次壁付き部材の弾塑性フレーム解析に用いる部材モデルの提案、特にここではMSモデルを設計に活用することを念頭におき、統一的なモデル化手法の構築を目指す。 2020年度はシアスパンが異なる袖壁付き柱2 体の静的加力実験を実施し,せん断力と変形角の関係、破壊性状および詳細な変形挙動を把握するとともに,復元力特性モデルの整合性について検討を行った。得られた知見は以下のとおりである。 1)シアスパンが異なる袖壁付き柱においてひび割れ発生状況に違いがみられたが両試験体とも袖壁端部の圧壊による破壊性状を示した。2)最大耐力は,平面保持を仮定した断面解析に準じた算定式による終局曲げモーメントの評価法で概ね良好な対応を示した。3) 正載荷ピーク時の曲げ変形とせん断変形の割合を比較すると,シアスパンの大きいCW1b の方がCW1aに比べて曲げ変形の占める割合が大きい。最大耐力付近は、どちらの試験体も曲げ変形は、全体の8割程度になっている。言い換えれば、せん断変形は2割ほどを占めており、復元力特性のモデル化においては、せん断変形も適切に評価する必要がある。4)両試験体とも曲げ変形は脚部に集中している。また、曲げ変形の内、柱区間の外側のスタブ内の鉄筋のひずみによる変形が1~2割程度を占めていることが明らかになり、鉄筋の抜け出しによる変形の影響が確認できた。5) 復元力特性の実験値と計算値を比較すると,試験体CW1aは概ね一致しているが,試験体CW1bは降伏時の変形は実験値より計算値が大きくなり,剛性低下率を過少に評価する結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度に実験施設の改修工事が行われ、使用できなかったことから、当初予定していた2次壁付き柱の構造実験は実施することができなかった。さらに、予定を修正して2020年前半に実施する計画であったが、新型コロナ感染症の影響で、実験の実施は2020年度の後半になった。そのため、やや遅れていると判断したが、実験により袖壁付柱の詳細にデータを取得でき、概要に述べたように変形挙動などの実験結果の分析は進んでいる。また、Multi-Spring Modelによる解析を実施し、実験結果との整合性と生じた差異の要因の確認を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の研究成果より、部材端部の鉄筋の抜け出し変形が全体の変形の1割ほど、せん断変形が全体の変形の2割ほどを負担していることが明らかになった。これらの結果踏まえ、3年目の2021年では、せん断変形および抜け出し変形の変形挙動が、一般的な袖壁付き柱の解析モデルを用いた時の結果に及ぼす影響を明らかにする。また、袖壁付部材は、せん断変形成分が比較的多いことから、せん断変形が支配的な袖壁付き柱試験体を対象に性的加力実験を実施し、袖壁付き柱のせん断変形の復元力特性などのせん断挙動を明らかにし、袖壁付き柱の適切なモデル化手法について検討を行う。
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Causes of Carryover |
2019年度に実験施設の改修工事の実施により、当初予定していた2次壁付き柱の構造実験を年度中に実施することができなかったため実験実施時期が1年ずれており、次年度使用額が生じた。次年度使用額は、そのまま予定していた構造実験の実施経費にあてる。
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Research Products
(2 results)