2019 Fiscal Year Research-status Report
広範な空隙率を持つ性能設計対応型ポーラスコンクリートの静弾性係数推定法の提案
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19K04694
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
齋藤 俊克 日本大学, 工学部, 准教授 (70547819)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ポーラスコンクリート / 静弾性係数 / Hashin-Hansen式 / 空隙補正係数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,「広範な空隙率を持つ性能設計対応型ポーラスコンクリートの静弾性係数推定法の提案」を目的に,①ポーラスコンクリートの静弾性係数に及ぼす材料構成及び空隙量の基本的な影響の検討,②同一調合における結合材の静弾性係数を変化させ,ポーラスコンクリートの静弾性係数に及ぼす結合材(マトリックス相)の影響を詳細に検討,③①及び②と空隙率0%のコンクリート(無空隙ポーラスコンクリート)の静弾性係数測定結果から,Hashin-Hansen式を基本式とする静弾性係数推定法の提案を行う。3年の研究期間の1年目である令和元年度は,①を明らかにするために,次に示す研究を予定していた。 粗骨材として静弾性係数が既知の硬質砂岩砕石及び石灰岩砕石を使用し,幅広い空隙率及び水セメント比としたポーラスコンクリートの圧縮性状を明らかにすることで,静弾性係数に及ぼす材料構成の基本的な影響を検討する。又,その結果より,無空隙ポーラスコンクリートの静弾性係数に対して空隙量を変数として取り扱う手法を見出し,空隙量をパラメータとする空隙補正係数算定式を提案する。 その結果,提案したポーラスコンクリートの静弾性係数の推定に用いる新たな空隙補正係数算定式を導くと共に,既報で提案した静弾性係数の推定式は,実用的な調合で製造されるポーラスコンクリートの静弾性係数の推定に用いることができるとの知見を得た。 又,本研究の基礎研究として,普通コンクリートの静弾性係数推定式として広く用いられている日本建築学会「鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説」に示されるポーラスコンクリートへの適用性について検討し,その研究成果を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度は,台風19号により研究室及び実験室が水害を受けたこと及び新型コロナウイルスの感染拡大の対応によって,実験が中断した期間があるものの,おおむね当初の計画通りに研究が進行している。昨年度までの科研費基盤研究C(研究課題名:性能設計を可能とする複合則を適用したポーラスコンクリートの静弾性係数推定法の構築,課題番号:16K06589)において,本研究の萌芽的成果を投稿した論文「ポーラスコンクリートの静弾性係数推定式と空隙補正係数」が材料誌(Vol.68,No.10,Oct. 2019)に掲載され,現在は今年度の研究成果を関連学協会に論文として投稿する準備を進めている。一方,本研究の一環として行った普通コンクリートの静弾性係数推定式のポーラスコンクリートへの適用性については,審査論文2編の研究業績を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究2年目にあたる次年度は,申請書の令和2年度に予定していた研究計画を遂行し,シリカフュームの利用及び水中(20℃)養生期間を変化させることにより,同一調合における結合材の静弾性係数を変化させ,ポーラスコンクリートの静弾性係数に及ぼす結合材(マトリックス相)の影響を詳細に検討する。又,令和元年度において得られた静弾性係数が既知の粗骨材を使用したポーラスコンクリートの静弾性係数との比較を行い,マトリックス相の異なるモデルにおけるHashin-Hansen式を適用した静弾性係数推定式の適応性を検証する。
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Causes of Carryover |
令和元年度は台風19号により,研究室及び実験室が水害を受けたため,実験が中断した期間が長く,計画段階で予定していた実験のいくつかを開始するに至らず,それらの実験のために計上していた消耗品を購入することができなかった。又,その水害による研究室及び実験室の復旧作業に追われ,日本材料学会第19回コンクリート構造物の補修,補強,アップグレードシンポジウム(京都)の出張を取りやめた。更に,年度末には,新型コロナウイルスの感染拡大に伴う影響で,日本大学第275回桜建会材料施工研究会定例会(東京)の開催が中止となり,出張が取りやめとなった。以上,様々な要因によって,研究費に多くの残高が生じた。 令和元年度に生じた残高と合わせて執行する令和2年度の経費は,令和元年度に中断されたものも含む令和2年度の実験的研究に要する使用材料費及び実験用消耗品,出張旅費などが主たる計上となる予定である。なお,新型コロナウイルスの感染拡大に伴う影響が長期化していることから,今後研究発表会の中止が予想されるものの,年度初めの時点では,コンクリート工学年次大会2020(広島),2020年度日本建築学会大会(関東),第83回日本建築学会東北支部研究報告会 などでの研究発表における出張旅費の計上を予定している。
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Research Products
(6 results)