2020 Fiscal Year Research-status Report
鉄筋の節を介して伝達される応力に基づく鉄筋コンクリート部材のひび割れ間隔と幅
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19K04697
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Research Institution | Daido University |
Principal Investigator |
高橋 之 大同大学, 工学部, 准教授 (20620842)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 鉄筋コンクリート / 画像相関法 / ひび割れ / 付着 / 応力伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
鉄筋コンクリート造梁を対象とした試験体を製作し, 載荷実験を行った。ただし, 試験体は通常の梁とは異なり, 部材内部のひずみ度を計測できるように製作した。梁上端筋を半分に材軸に沿って切断加工し, 梁上端筋の中心からコンクリート縁までを模擬した試験体(つまり, 試験体の大部分がかぶりコンクリートに相当する)を製作し, また, 同様に梁下端筋を半分に切断加工して梁下端筋の中心からコンクリート縁までを模擬した試験体を製作し, 両者を結合させてつくった。両試験体の接合のために, あらかじめ各々の試験体に梁あばら筋に相当する鉄筋を埋め込んでおき, 脱型後にこれらを溶接した。したがって, 梁の上端筋中心から下端筋中心までがくり抜かれている形状となっている。 このようにして製作した試験体に引張力を作用させ, コンクリート表面のひずみ度を測定した。ひずみ度の測定は, 片側をひずみゲージ, もう一方を画像相関法による測定で行った。梁主筋近傍では, 梁主筋から離れた位置よりも大きなひずみ度が計測されていた。この結果は, ひずみゲージによる計測結果, 画像相関法による計測結果で共通していた。鉄筋近傍ではひび割れ幅が小さくなる傾向がこれまでの研究から明らかになっているが, その理由が本実験のコンクリート表面で計測したひずみ度に現れた。また, ひび割れとひび割れの間でのコンクリート面のひずみ度の推移も計測することができ, この結果を用いてひび割れ間隔を推定できる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた鉄筋コンクリート造梁の内部ひずみ度を測定するための試験体の製作および載荷試験を実施できた。計測結果も良好であり, 今後の検討に活用できるデータを取得することが出来た。ただし, 本年度に行った載荷方法では次年度に予定している応力状態の実験を行うことが困難であると予想され, 試験体の製作方法および載荷方法を予定のものから変更する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はせん断力と曲げモーメントが同時に作用する鉄筋コンクリート造梁について内部のひずみ度を計測する予定であるが, これまでに行った方法では付着割裂破壊の危険性が高いと考えられる。そこで, 鉄筋コンクリート造部材の内部をくり抜いた形状の試験体を製作するのではなく, かぶりコンクリートに相当する部分を切り欠いた形状の試験体を製作して実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
試験体の製作に要した費用が計画当初よりも少なかったため, 次年度使用額が発生した。次年度は計画当初から試験体の製作方法を変更するため, 次年度の試験体製作にこれを使用する計画である。
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