2020 Fiscal Year Research-status Report
建築分野におけるドローン活用のための建築電波環境の研究
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19K04708
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
河邊 伸二 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20252314)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 洋介 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00757338)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ドローン / 電磁環境 / 定在波 / スペクトラムアナライザ / 建設現場 / 建設機械 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、ドローンは建築分野でも施工管理や建物調査・点検に利用され始めている。ドローンは「空の産業革命」とも言われる新たな可能性を有する技術であり、人手不足や少子高齢化などの社会課題の解決や新たな付加価値の創造を実現する産業ツールとして期待されている。 ドローンは、建築物の外壁調査や建設現場の空撮・記録など都市部を飛行させることも多い。ドローンを操縦する電波は、都市部では他の電機機器や住宅・ビルなどの建造物による反射など、周辺環境からの影響を受ける。これらにより電波干渉を引き起こし、操縦不能に陥ることも考えられる。ドローンを利用するにあたり、飛行させる場所の電波環境を知っておくことは不可欠である。 建設現場では、建築途中に記録として、俯瞰写真を定期的に撮影することが増えている。電波は総務省の許可制であり、自由に使用することはできない。しかし、2.40~2.50GHz帯の電波は免許や資格の必要がなく、自由に使用することができる。そこで建設機械に用いられる電波も2.40~2.50GHz帯が多い。同様にドローンの操縦も2.40~2.50GHz帯の電波を利用している。従って、建設機械の電波とドローンの電波が干渉し、建設機械の電波によるドローンが誤作動する可能性や、また反対に、ドローンの電波による建設機械が誤作動する可能性がある。 そこで、都市部のドローン利用における建設現場での利用に注目し、建設機械が稼働している場合の建設現場の電波環境の測定を行う。今回の調査では、ラフテレーンクレーン(以下、クレーンとする)、コンクリートポンプ車、トラックアジテータの稼働時の電波環境と柱溶接が行われている時の電波環境について調査する
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回のクレーン、トラックアジテータ、コンクリートポンプ車の稼働中、及び柱溶接時の測定を行った。この結果、以下のまとめを得た。 1) ドローンの利用周波数帯である2.40~2.50GHzにおいて、クレーン稼働時には、エンジン停止時に比べ、垂直偏波、水平偏波ともに電界強度が大きくなり、その電界強度は旋回時、吊り上げ時、静止時の順に小さくなる。 2) コンクリート打設時には、コンクリートポンプ車で2.46~2.48GHzで電界強度が大きくなる。 3) 2.44~2.45GHz付近で柱溶接時に電界強度が大きくなった。水平偏波は垂直偏波に比べ電界強度はより大きい。 研究は、おおむね順調に進んでいるが、コロナ禍のため、建設現場にて十分なフィールド測定が行えない状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
建築分野の、特に人の多い都心部において、ドローンを絶対に墜落させてはいけない安全性の確保はドローンの活用において最重要な項目である。墜落の原因には、操縦スキル不足、機体異常、バッテリー切れ、気象要因などがあるが、近年の自動操縦などのドローンの機体等の発達により、これらの原因は徐々に少なくなっている。 一方で、通信ロストなどの建築電波環境の原因によるトラブルが増えている。①多数の建築壁面による電波のマルチパス、②フレネルゾーンによる電波の遮蔽、③ハイトパターンによる電波の強弱、④2.4GHz帯の同一周波数帯の利用による混信などがある。これらの建築電波環境の様々な障害の原因を検討することで、建築分野におけるドローンの安全な利用・活用が図られる。 コロナ禍のため、屋外にて十分なフィールド測定が行えない状況にある。そこで、各種建築材料の内、反射の影響が大きいガラスについて、斜入射も含めた電波の特性を測定する。ドローンの操縦に影響を与えるガラスの種類、角度などを詳細に検討する。
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Causes of Carryover |
実験結果とデータを精査する時間を要し、次の実験計画の再調整をしたためである。 コロナ禍で、屋外の測定、特に建設現場の測定が十分に行えなかったためである。 実空間でドローンを飛行させる実験と、ガラス等の単体の建築材料の測定に使用する計画である。
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Research Products
(1 results)