2019 Fiscal Year Research-status Report

木材管理のためのＩＣチップの埋込と画像識別による個別トレーサビリティの確立

Research Project

Project/Area Number	19K04726
Research Institution	Shinshu University
Principal Investigator	浅野良晴信州大学, 工学部, 特任教授 (20140551)
Project Period (FY)	2019-04-01 – 2022-03-31
Keywords	木材トレーサビリティ / 木材IoT実装 / 木材個体識別 / RFIDチップタグ / 深層学習 / 年輪画像識別
Outline of Annual Research Achievements	200本の円筒型RFIDチップタグを素材丸太に埋め込みした。それらを120㎜角の柱材にするために135㎜角に1次加工した後に乾燥させ，ＩＣチップのデータが読み取れたか確認し，194本の読み取りを確認した。6本（3%）の不合格が出た。その理由は乾燥前木材に埋め込んだ円筒型RFIDチップタグが乾燥による木材の収縮によりタグの先端部が露出し，工程上のぶつかりなどの衝撃により機能破壊されたことが分かった。無事な円筒型RFIDチップタグの埋め込まれた乾燥後の135ｍｍ角の木材61本に対して変形量を計測した。 3％の不合格品が出たことから，RFIDチップタグの形状を変更し，円盤型RFIDチップタグを制作した。176本の円盤型RFIDチップタグを素材丸太に埋め込んだ。それらを120㎜角の柱材にするために135㎜角に1次加工した後に乾燥させ，ＩＣチップのデータが読み取れたか確認し，176本の読み取りを確認した。全数機能が確認されたことになり，これ以後はこのタイプのRFIDチップタグを使用することとする。 RFIDチップタグを埋め込んだ素材丸太の木口面の年輪画像により，個体識別を可能とするプログラムを開発し，試行した。深層学習を行うCNNを利用した。10本分の年輪画像に対してその中の1本が識別可能となるプログラムが作成できた。製材用素材丸太に付記すべき項目とデータベースとして伐採にかかわるデータは伐採地、伐採年月日、材種、口径を記録し、搬送にかかわるデータは搬送先、搬送年月日とした。次に木材の個体識別方法の検討を行った結果、良好な結果が得られた。素材丸太の偏芯量を計測し、さらに1次加工後に高温乾燥させて、変形量を計測した。両方の数値の関係を回帰分析した結果、小径の素材丸太から加工した角材は高温乾燥後に変形量が多いことが分かったので、さらに詳細な分析を進める。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 1: Research has progressed more than it was originally planned. Reason 木材1本毎のトレーサビリティのロバストネスの確立を達成することを目的として、素材丸太のうち約300本にRFIDチップタグの埋め込みをする計画であったが、374本の素材丸太に埋め込みを行うことができた。そしてストックヤードで蓄積状態での素材丸太で情報の再読み込みを確認できた。さらに製材工程では乾燥後の情報保持の確認を行い，素材丸太のうち368本について保存データの確認ができた。これは98.3％となり、目標の95%以上の引継ぎを達成した。実証件数も年度計画の300本を超えており、十分であった。 61本の素材丸太の口径，計測した元口と末口の偏芯量の差により乾燥後の角材の変形量を推定する回帰式を作成した。実証件数は年度計画の50本を超えており、十分であった。素材丸太の視覚による個体識別に画像処理を用いる方法を確立するために、RFIDチップタグを埋め込んだ時の木口の年輪画像と製材所で選木した素材丸太の木口の年輪画像とが一致し，別の素材丸太の木口の年輪画像とは不一致となるように深層学習を行うCNNプログラムを開発した。10本の素材丸太木口の年輪写真データベースを作成し、そのうちの1本が合致することが確認できた。年度計画の目標は達成された。以上のことから、当初の計画以上に進展していることとする。
Strategy for Future Research Activity	森林土場でさらなる実証試験を実施する。製材所への搬送時及びストックヤードで蓄積状態での素材丸太で情報の再読み込みを確認する。製材工程では乾燥後の情報保持の確認を行い，実績を増やす。さらなるデータを増やし、素材丸太の口径，計測した元口と末口の偏芯量の差により乾燥後の角材の変形量を推定する回帰式を作成する。それを利用して予測変形量に応じた乾燥方法を選択できるようにする。 RFIDチップタグを埋め込みした時の多数の画像データをクラウドに登録しているので，製材所で撮影した素材丸太の年輪画像とクラウドの画像データとを照合できるようにする。本研究では高解像度の写真画像による識別の向上を目指す。素材丸太のトレーサビリティを実行できるように手続きをマニュアル化する。
Causes of Carryover	新型コロナウイルス感染防止のため出張の見合わせを行ったため、旅費の支出ができなかった。次年度使用額は引き続き出張旅費として使用する。令和2年度請求額は当初の予定通り出張旅費として使用する計画である。