2021 Fiscal Year Research-status Report
仙台における都市気候観測網再構築に基づく将来都市気候の統計的ダウンスケーリング
Project/Area Number |
19K04734
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Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡辺 浩文 東北工業大学, 建築学部, 教授 (60247236)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 都市気候観測 / 大気温湿度 / 空間情報解析 / 将来都市気候 / 統計的ダウンスケーリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は二つの目的を有する。一つは、都市の影響を受ける前の海風の特性を把握するための沿岸部測定点の復活、そして都市暑熱化を念頭にした中心市街地付近の測定点の増設、すなわち都市気候観測網の再整備である。もう一つは、当研究室が蓄積する都市気候観測データと既存の将来気候の予測資料を連結させ、空間解像度を向上させる将来都市気候の統計的ダウンスケーリング手法を確立するとともに、その推定結果について分析を施すことである。 2021年度は最終年度であり、当研究室で再整備した都市気候観測網から得られた測定データに基づく、統計的ダウンスケーリングのための基礎的な精査検討、すなわち観測日によって絶対値の異なる気温観測結果を同時刻の仙台管区気象台観測結果との差値(気温差)に着目することで、日々の気候差異に関わらず比較的精度よく各所の気温を推定することの検討を、研究計画通り実施した。関連する研究成果を国際学術誌に当研究室大学院生と連名にて投稿し、査読付き論文として採択される等、一定の成果を挙げることができたと考えている。 一方、予定していた研究成果発表のための国内および外国旅費は、新型コロナウイルス感染症の影響で、今年度も全く執行できなかった。そのため、補助事業期間の延長及び繰越の手続きをとることとする。 本研究課題にて都市気候観測網の再整備は概ね完了した。今後もこの都市気候観測網を活用した測定を継続し、海風影響の強い沿岸都市・仙台における気候配慮の都市計画に資する学術研究を推進する。一方、所属研究機関内での職務変化を第一義にせざるを得ない状況でもあり、研究成果等に基づく書籍執筆など広く社会普及についても検討したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響で、計画していた研究成果発表のための国内および外国出張は全くできなかったが、当研究室で蓄積している過去の測定データと併せ、統計的ダウンスケーリングのための基礎的な精査検討はでき、関連する研究成果を海外学術誌に採択・掲載されたため、「おおむね順調に進展している」と自己点検評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題にて都市気候観測網の再整備は概ね完了した。今後もこの都市気候観測網を活用した測定を継続し、海風影響の強い沿岸都市・仙台における気候配慮の都市計画に資する学術研究を推進する。一方、所属研究機関内での職務変化を第一義にせざるを得ない状況でもあり、中等教育の副読本を想定した書籍執筆についても検討したい。
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Causes of Carryover |
2021年度は本研究課題の最終年度であり、研究計画はおおむね順調に進展・達成したと考えているが、長期化した新型コロナウイルス感染症の影響で、当初より計画していた研究成果発表のための国内および外国出張が達成できておらず、補助事業期間の延長及び繰越の手続きをとることとする。しかしながら国際研究集会が不開催(もしくはオンライン開催)の場合、計画する旅費を気候測定もしくは測定データ分析のための物品購入費等に充てることとしたい。
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