2020 Fiscal Year Research-status Report
Automatic control logic utilizing sparse modeling for natural ventilation operation
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19K04741
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
樋山 恭助 明治大学, 理工学部, 専任准教授 (10533664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Srisamranrungruang Thanyalak 明治大学, 研究・知財戦略機構(生田), 研究推進員(ポスト・ドクター) (40837267) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 自然換気 / 機械学習 / 運用 / 温熱環境 / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、設計者が期待する自然換気による省エネ効果は担保しつつ、執務者及び運用者の不満を解消した自然換気口の自動制御ロジックの開発となる。開発する自動制御ロジックは、物理モデルによる環境予測技術と機械学習を活用することで、自然換気運用時の室内環境の改善を実現する方針をとる。 2年目となる2021年度は、本研究が最終目標とする機械学習モデル構築におけるデータ量が特徴量変数の種類と比較し少ない場合においても、有用な予測結果を導出可能なモデルの構築方法に関して、検討を行い、その試行モデルの構築まで進めた。 新型コロナの感染拡大に伴いフィールド実測が困難となったことから、当該年度の検討はコンピュータ上の仮想オフィスモデルを用いて進めた。自然換気の最適運用を考える際、換気窓の開閉動作音が原因とされる使用者の苦情の回避が課題であり、そのためには実施日の自然換気窓の開放パターンを事前に予測しておくことが有用となる。本年度の検討においては、換気窓の開閉において、全開、半開というパターンを準備し、それぞれの選択に伴う行動価値を室内温熱環境の安定性を評価軸に設定し、それを最適化するように機械学習を組むことで、効果的な運用が可能であることを確認した。この機械学習モデルの構築においては、特徴量変数の次元削減を実施するための方法論が課題であり、この手法として物理モデルから建物条件、自然環境条件と実現環境の関係性を導き、モデルに取り込むといった遷移学習の概念が有用であることが分かり、その導入方法を次年度の課題として設定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究が最終目標とする機械学習モデル構築におけるデータ量が特徴量変数の種類と比較し少ない場合においても、有用な予測結果を導出可能なモデルの構築方法に関して、当年度から具体的な検討を行い、その試行モデルの構築まで進めることができた。このことからも、現在までの進捗状況は概ね順調と言える。 新型コロナウィルスの感染拡大といった社会情勢の変化により、当初期待していた実際の建物を用いた検討や効果検証の実施が難しい状況が続き、当年度もコンピュータ上の仮想建物を対象とした研究方針をたて、対応することを余儀なくされた。ただし、このコンピュータ上におけるシミュレーションを用いた検討においても、その設定パラメーターの不確実性を考慮した検証を進めることで、シミュレーションと実空間における現象の乖離を許容する形で研究を進めることができており、当初期待した研究成果とは、大きく違わないかたちでの成果を導くに至っている。また、その外部発表に関しても、当初の期待通り、順調に準備を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
3年目として、これまでの研究成果を最終目標に向けて成果物に変えていく作業を進める。2年目で実施した検証は、限られた条件下における結果であったことから、その汎用性を確認するために、建物条件や気象条件を変更した検討を進め、これらの条件変化が研究成果に及ぼす影響と課題を整理し、解決する。また、自然換気を考える上で、建物の使用状況による内部発熱や求める環境性能の影響を無視することはできない。これらを踏まえ、冗長性のある機械学習モデルの構築方法を検討することも求められる。 これまでの研究成果から、物理モデルを用いた建物条件や気象条件、またその使用状況と目的関数の相関性を分析し、機械学習モデルの構築に活用することが有用であることを確認している。この方法論として、次元削減といった説明量変数の選定方法への活用方法、若しくは遷移学習といった機械学習モデル自身における反映方法等の活用が検討対象となる。日々発展を続ける機械学習技術の状況を追いつつ、建築学におけるその最適な導入方法を検討していくことも、広義に本研究が求める成果として、その検討を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、調査及び成果発表とフィードバックのための旅費が執行できなかったため、次年度使用額が生じた。 次年度は、社会情勢を見極め、これらの代替方法を模索し、その執行を計画するほか、研究手法としてもシミュレーションの比重が高くなったため、その基盤拡充のための執行を計画する。
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