2020 Fiscal Year Research-status Report
熱中症対策としてのファン付き衣服の有効性に関する研究
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19K04744
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Research Institution | Kushiro National College of Technology |
Principal Investigator |
桑原 浩平 釧路工業高等専門学校, 創造工学科, 准教授 (40374582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱田 靖弘 北海道大学, 工学研究院, 教授 (40280846)
山崎 慶太 株式会社竹中工務店 技術研究所, その他部局等, 研究員(移行) (30416606)
傳法谷 郁乃 神奈川大学, 工学部, 助教 (00782301)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ファン付き作業服 / Tシャツ素材 / 皮膚温 / 体重減少量 / 発汗量 / 熱中症 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,異なる素材の長袖Tシャツを着用した被験者実験を行うことにより,ファン付き作業上着(VWJ)内のTシャツ素材が人の生理心理反応に及ぼす影響を検証することを目的とした.実験は環境条件を気温34℃,相対湿度50%に設定した人工気候室内で行われ,健康な成人男性8名に3.0km/hのトレッドミル運動(約2.1METs)をさせた.服装は,作業靴,靴下,トランクス,作業ズボン,長袖Tシャツ,VWJ,ヘルメットとした.実験に使用する長袖Tシャツは綿,ポリエステル,ナイロンの3種の異なる素材のものを用意した.実験時間は90分間であり,Tシャツを変えて1日3回実験させた.皮膚温,深部体温,心拍数,運動量,体重減少量,着衣重量増加量,衣服内温湿度,主観申告を測定した.その結果,Tシャツの残留汗量は,ポリエステル製Tシャツよりも綿製Tシャツを着用した方が有意に高くなった.しかし,それ以外の皮膚温や発汗密度,Tシャツ内温湿度に有意な差はみられなかった.綿Tシャツは他の素材よりも濡れているものの,着衣の濡れ感にも有意な差はみられなかった. 次に,建設現場におけるVWJ着用の実態と,VWJ着用による心理反応を明らかにすること,感染症対策のマスクの影響を把握することを目的として東京の建設現場にてアンケート調査を行った.夏季の建設作業現場では殆どの人がVWJを着用しており,感染症対策としてのマスクも殆どの人が着用していた.一方で,マスクの着用による暑熱ストレスの増加の可能性も示唆された.VWJとインナーの組み合わせは約70%の作業員が長袖VWJと半袖インナーと回答した.半袖インナーを使用することで袖部に残留する汗による不快感を抑えている可能性が考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度にはファン付き作業ズボンの効果を検証し,2020年度にはファン付き作業上着内のTシャツ素材の影響を検証できた.当初の研究計画通り順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
ファン付き作業服を着用した人体にも適用可能な平均皮膚温予測モデルを開発する。サーマルマネキンを用いて得られた着衣熱抵抗値をモデルに導入し,予測値と被験者実験での実測値を比較することでモデルの有効性を検証する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で学会がWeb開催となり旅費の負担が減少したこと,投稿予定の論文を本年度中に投稿できなかったため残額が生じた. 残額は,室蘭工業大学で被験者実験を行うための環境試験室製作用材料費や,投稿論文の英文校正代・投稿料として使用する.
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[Presentation] ファン付き作業服が建設作業員の生理・心理反応に及ぼす影響に関する研究(第16報)夏季の建設作業現場における屋外温熱環境及びアンケート調査2020
Author(s)
山田稜, 染谷俊介, 井野隼人, 山崎慶太, 高橋泰斗, 藤崎幸市郎, 桒原浩平, 傳法谷郁乃, 濱田靖弘, 小林宏一郎, 笹森暁, 中家碧惟
Organizer
第44回人間-生活環境系シンポジウム
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