2021 Fiscal Year Annual Research Report
機械学習によるデータ駆動型避難シミュレーションシステムの開発
Project/Area Number |
19K04752
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安福 健祐 大阪大学, サイバーメディアセンター, 准教授 (20452386)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | データ駆動 / エージェントベース / 群集シミュレーション / 避難 / 地下街 / 大型商業施設 / 強化学習 / 可視化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、エージェントベースの群集シミュレーションにデータ駆動型のアプローチを取り入れることで、複雑な人間の行動の再現性を向上させつつ、汎用性のあるシステムを開発することを目的としており、従来型の群集行動モデルに対し実データを活用して精度を上げていく手法と、機械学習により群集行動モデルを生成する手法により研究を行った。 従来型の群集行動モデルに実データを活用した事例としては、津波による地下空間浸水からの避難を対象に、ある地下街管理会社から提供された滞留者予測データ、避難シナリオを入力データとし、群集の動きをシミュレーションで予測して避難安全性の評価を行った。避難シナリオとしてはブロック別の誘導を想定しており、混雑が予測されるブロックについては、他のブロックへ誘導した場合に避難時間が短縮する効果をシミュレーションにより確かめた。 次に大型商業施設を対象として、施設会員カードの購入履歴データから店舗間の遷移確率を生成することでシミュレーションによる買い回り行動を再現し、COVID-19前との人流を比較した結果、COVID-19によって施設全体の人流は約9.4%減少したこと、フロア別にみると飲食店が多いフロアが18.3%減と顕著であること、大型の雑貨店周辺では人流が増加していることなどを明らかにした。 一方、機械学習により群集行動モデルを生成する手法については、ゲームエンジンUnityを活用して開発を進めた。Unityは深層強化学習用のフレームワークを利用することができ、個々のエージェントが効率よく移動できる行動を学習させる環境構築を行った。また、人流の群集流動を評価する場合に、群集密度算定方法と可視化手法を整理し、ボロノイ分割ベースで群集密度を算定し、ボロノイ領域をアニメーション表示することにより、個々の移動に着目した専有面積の変化を見ながら群集流動性状を把握できることを示した。
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