2019 Fiscal Year Research-status Report
フランス都市計画の立案組織-都市圏での協働・国の支援・半官半民組織の視点から
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19K04756
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
鳥海 基樹 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (20343395)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ワインスケープ / スマート・スプロール / マルセイユ / ヴァレンシア / リヴァプール / 欧州文化首都 / ユーロメディテラネ構想 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ワインスケープに関する研究の社会還元と発展、マルセイユを中心としたの衰退港湾都市を核とした広域都市計画と政策の文化化をに関し、資料収集、聞き取り調査及び現地調査を進め、それらの成果をまとめることを主眼とした。それらをまとめると以下の2点に整理できる: 1.ワインスケープに関しては講演会等で社会還元する一方、その保全を担う都市計画制度の分析を通じ、コンパクト・シティやスマート・シュリンキングとは異なる、スマート・スプロールの概念とその制度設計を考察した; 2.マルセイユに関しては、別予算も活用しながらスペインのヴァレンシアやイギリスのリヴァプール、さらにはオランダのアムステルダムやロッテルダムの現地調査を実施した。後3者に関しては経済再生等も確認できたが、ヴァレンシアに関しては巨大施設がむしろ重荷になっていることも理解した(これは2020年1月に参加したボルドーでのフランス都市史学会でスペイン人研究者から側聞したものを現地調査で確認したもので、さらなる文献調査を実施予定である)。それらも活用しながら、マルセイユのユーロメディテラネ構想の研究を進めた。そのことで財界の主導性や都市計画に於ける国家の復権の構図が明らかになってきた; 3.併行して、マルセイユに関し、欧州文化首都の誘致や実施プロセスの資料の読み込みを進めることで、文化政策の推進もあまた政治ではなく財界主導で進められ、しかも国家の復権として中央の能吏が役割を果たしたことが見えてきた。また、中心となった欧州地中海文明博物館(MUCEM)は、そもそもは別のプロジェクトとして企画されてきたことも判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ワインスケープを通じた広域都市計画研究は、研究自体は完了しており、その普及の段階である。 マルセイユのユーロメディテラネ構想は、市の都市計画局での文書収集が許可され、読み込みも概ね終了している。
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Strategy for Future Research Activity |
マルセイユに関しては出版を前提にまとめに入りつつあるが、ユーロメディテラネ構想に影響を与えたリヴァプールやジェノヴァの解析を進めてゆく。また、新型コロナウイルスの影響でイタリアのボローニャとスペインのバルセロナ調査がキャンセルになっているため、それらを進めたい。
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Causes of Carryover |
3月に予定されていたマルセイユをはじめとする現地調査がコロナウイルスの影響で中止となったため
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