2021 Fiscal Year Research-status Report
フランス都市計画の立案組織-都市圏での協働・国の支援・半官半民組織の視点から
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19K04756
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
鳥海 基樹 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 教授 (20343395)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マルセイユ / ユーロメディテラネ構想 / 都市計画の文化化 / 雇用改善 / 観光開発 / 地方創生 / 広域連携 / 社会的包摂 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度もCovid-19のため全く渡仏できないため、これまでの調査の総括(書籍出版)と新たな視点の試行錯誤の2本柱で研究を進めた。 前者は『マルセイユ・ユーロメディテラネ』(488頁)のことで、フランスに於ける斜陽都市のトップランナーと言われてきたマルセイユに於けるユーロメディテラネ構想なる都市再生プロジェクトを扱った。意訳すれば「欧州地中海覇権都市建設プロジェクト」とでも言える本構想は、当初計画面積だけで310haに及び、2007年末に169haの拡張を決定したので、都心部から港湾部にかけてのほとんどが対象とされる。財政面では、すでに1995年から第一期の完了となる2006年までに3億ユーロの公的資金が投じられ、約3倍の10億ユーロの民間投資を誘発することに成功した。 この構想の背景にはニュー・ディール政策の側面があり、しかも竣工後も雇用が発生する持続性が追求されている。実際、地区によっては40%もの失業率を記録していた凋落都市を2013年の欧州文化首都に押し上げた。また、この文化と享楽が広域共同体の結成にも効果を及ぼし、2016年1月1日にマルセイユと共に大都市圏共同体を成立させた。 後者に関しては、上書の執筆の中途で感得した享楽による広域連携という視点を発展させ、さらに世界遺産システムに於けるシリアル・ノミネーションの仕組みにも触発されながら、文化遺産や観光を軸とした広域都市計画の成立の可能性を探究した。一例としてサンチアゴ・デ・コンポステーラの線的な世界遺産の基礎的文献調査を進め、さらに「フランスの最も美しい村」連合のような離散的な遺産の協働体制の可能性を探究した。ただ、やはり地理的連続性のない共同体間では補完性の原理の成立は困難で、次年度以降は、イタリアやスペインも含みつつ、サンチアゴ・デ・コンポステーラに絞った探査が必要であると方針を修正しつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
Covid-19により全く渡仏できていない
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Strategy for Future Research Activity |
できれば渡仏し、調査は無論、フランスの都市計画の最新動向を文献収集や聞き取り調査で実施して、研究の軸の再確立を期したい。
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Causes of Carryover |
Covid-19のため全く現地調査ができず文献調査のみだったため
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