2022 Fiscal Year Research-status Report
エリアリノベーションの定着・継続のための公民連携スキームの構築
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19K04758
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Research Institution | Tohoku University of Art and Design |
Principal Investigator |
馬場 正尊 東北芸術工科大学, デザイン工学部, 教授 (70515197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中江 研 神戸大学, 工学研究科, 教授 (40324933)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | エリア・リノベーション / 公民連携 / テンポラリーアーキテクチャー / 仮設建築と社会実験 / エリアマネジメント / 所有と活用・経営の分離 / 都市経営 / デザインとマネジメントの連結 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、主にこれまでの理論研究を実践にフィードバックした研究で成果をみた。 実践的研究として進めていた「やまがたクリエイティブシティセンターQ1」がオープンした。昭和初期に竣工した山形市立第一小学校旧校舎をリノベーションしたこの施設は、山形市、東北芸術工科大学(研究代表者が教員として所属)、株式会社Q1(研究代表者が代表取締役)による公民連携事業で実施されたものである。ユネスコ創造都市ネットワークに加盟した山形市において、映画やものづくりやデザイン、食、それを支える農業や産地としてのまちの魅力など、さまざまな要素を、民間資本や技術、人材と掛け合わせ、楽しいコンテンツ空間を創出しながら、公共性と収益性も両立させていくことを目指し、企画・デザインからマネジメントまでを上記三者が連携する体制で一貫して遂行したものである。また、これに関連して、山形市では2022年4月に「山形市文化創造都市推進基本計画」が策定された。これの「創造的活動を支える環境の整備及び活動」の具体的取り組みのひとつである創造都市拠点施設の整備は、上記施設が対象となっており、この施策の立案にも研究成果を活用して協力した。 また、本研究の成果として2020年に出版した『テンポラリーアーキテクチャー/仮説建築と社会実験』で示した、民間企業へのサウンディングと社会実験を組み合わせて行うことにより、確実にプロセスを共有しながら公民連携プロジェクトを構築していく手法、トライアル・サウンディングを、静岡のトライアルパーク(研究代表者が企画・設計)で実践し、その内容についての成果発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、新型コロナウィルスの影響により、予定していた調査の一部が実施できなかったが、実践的研究の対象施設がオープンするなど、実践面での研究では大幅な進展が見られたため、総体的には、やや遅れているものと評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度の研究成果は理論面での研究を実践にフィードバックしたものとしての成果であるが、さらに、これらの実践で得られた知見を整理し、再び理論へとフィードバックする作業を進める。類似する国内外のプロジェクトと比較検討することにより、客観性を高め、汎用性のあるモデルにすべく、分析を進める。 実践的研究の対象施設がオープンしたが、これまでの事業化の経緯とともに、オープン後の実際のマネジメントも含めてのモデル化を検討する。また、本研究の成果として出版した図書からのフィードバックや、その発展形としての方法論を論文として発表したことにより、多方面からの反応がある。これらから導き出される事象を組み込むことにより、それを加味した調査研究を行う。 類例との比較評価のための海外事例の現地調査については、新型コロナウィルスの影響は落ち着きをみせている一方で、燃料費高騰に連動した航空運賃の高騰により、海外調査の予定を削減せざるを得ない。これについては、調査対象を厳選するとともに、必要に応じてオンラインでの聞き取り調査も併用することを検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響により、海外事例の現地調査をオンラインでの聞き取り調査への変更を検討した。しかしながら、調査先や協力者の都合で、オンラインでの聞き取り調査の環境が整わなかったことが次年度使用額が生じた理由である。 2022年度の実践的研究によって新たに得られた知見について、これの活用のためのモデル化には、比較対象として海外事例を現地で見て、調べる、評価することが必要であると判断されたため、あらためて2023年度に海外事例の現地調査を実施する計画である。
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