2020 Fiscal Year Research-status Report
陶磁器産業衰退期における関連施設群の空間変容と新たな利活用方策に関する基礎的研究
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19K04760
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
岡本 肇 中部大学, 工学部, 准教授 (50513355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永野 聡 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (80609149)
臼井 直之 岐阜市立女子短期大学, その他部局等, 講師 (50790185)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 陶磁器産業 / 事業所数 / 全国的状況 / 瀬戸市 / 立地動向 / 空間的課題 / 職業別電話帳 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の実績として、主に研究目的Ⅰ.陶磁器産業地域の1980年代以降(衰退期)における陶磁器関連施設の空間変容と現況の立地状況の実態を明らかにするために行った、以下の作業結果があげられる。 ・主要産地である愛知県瀬戸市のここ 10 年の事業所数及び立地動向の変遷を分析した結果、2011年時の68%(225件減少)に減少したことが明らかになった。製造業、卸売業、小売業の分類でみると製造業の減少率が一番高い。製造業の中でも、陶磁器製造、陶芸家、陶磁器上絵付等、陶磁器産業の中でも伝統的工芸品の部類に関係すると考えられる業種の減少率が特に高い。一方、セラミック製品・加工、電気絶縁材料のような新興的な業種の減少率は低い傾向であった。 また立地動向に関しては、製造業は、古くから陶磁器産業を営んできた地区(赤津地区、品野地区、水野地区)や中心市街地(名鉄瀬戸線尾張瀬戸駅周辺)を中心に、そこから広がるように分布し、加えて市内西側に広く分布している。卸売業は製造業の分布の真ん中を貫くように分布(名古屋市-瀬戸市中心市街地-多治見市を貫く幹線道路沿い(国道248号等)に集中)、小売業は中心市街地に集中して分布していることがわかった。また2011年時点の分布上のどの場所でも同じように事業所が減少していることが明らかになった(2021年度日本建築学会学術講演梗概集に投稿)。 ・また主要産地である岐阜県多治見市を対象に、インフラ整備に着目した陶磁器産業地域における空間変容の実態分析を行った。具体的には高度成長期以降の地形図(1/25,000)を基に、住宅団地、道路網、土地利用の変遷を明らかにし、多治見市の空間変容の特徴を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までに、研究目的Ⅰ(陶磁器産業地域の1980年代以降(衰退期)における陶磁器関連施設の空間変容と現況の立地状況の実態を明らかにする)に関しては、以下の作業を行った。 ◎作業Ⅰ 全国基礎調査による全体像の把握 : 経済産業省指定伝統工芸品に指定された陶磁器産業の国内産地(47市町村)の基礎情報を取得するため、関係自治体及び関連団体へのアンケート調査の準備(質問項目のブレーンストーミング等)を行った。 ◎作業Ⅱ 対象地域の空間特性把握 : 本研究のメインの対象地域である瀬戸焼・美濃焼産地(愛知県瀬戸市、岐阜県多治見市等)、伊万里・有田焼産地(佐賀県伊万里市、有田町)、備前焼産地(岡山県備前市)に対して、職業別電話帳による空間変容及び現況の陶磁器関連施設の立地動向の把握調査を行った。特に瀬戸市に関しては、2011年と現在(2021年3月)の空間変容の実態を詳細に把握することができた(2021年度日本建築学会学術講演梗概集に投稿)。しかし新型コロナウイルスの影響のため2020年2月以降、新幹線を利用しての現況調査の実施を自粛しており、作業Ⅱに関しては当初の予定よりも遅れている状況にあるため、職業別電話帳以外から把握できる空間特性把握のためのデータがまだ充分には揃っていない。 研究目的Ⅱ(関連施設群の新たな利活用方策のあるべき姿・方法論を地域事情を鑑みながら明らかにする)に関しては、瀬戸市に関しては数回現地におけるプレ調査(ヒアリング等)を行った。しかし他事例に関しては、上記理由により調査を自粛したためまだ行えていない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究目的Ⅰ(陶磁器産業地域の1980年代以降(衰退期)における陶磁器関連施設の空間変容と現況の立地状況の実態を明らかにする)に関しては、以下の作業Ⅰ・Ⅱを行う予定である。 ◎作業Ⅰ 全国基礎調査による全体像の把握 :経済産業省指定伝統工芸品に指定された陶磁器産業の国内産地(47市町村)の基礎情報を取得するため、関係自治体及び関連団体へのアンケート調査を実施する。 ◎作業Ⅱ 対象地域の空間特性把握:新型コロナの影響のため昨年度実施できなかった対象地域の現地調査の調査を、状況が落ち着き次第再開する。また並行して職業別電話帳等から1980年以降の陶磁器関連事業所の空間変容・現況の立地状況の実態を整理・把握する。 また研究目的Ⅱ(関連施設群の新たな利活用方策のあるべき姿・方法論を地域事情を鑑みながら明らかにする)に関しては、以下の作業Ⅲ・Ⅳを行う予定である。 ◎作業Ⅲ 対象地域の利活用方策の実態把握および仮説提示と、仮説のポテンシャル調査:対象地域内の既存利活用方策を、各種資料の調達や各自治体等の担当課及び陶磁器系組合等へのインタビューにより実態・課題を把握する。またこれらから各変容タイプと現況立地タイプに見合った新しい利活用方策を仮説的に提示し、そのポテンシャルを把握するため地域内の陶磁器事業者やNPO組織等へ、空き空間への利用意向や協働型まちづくりへの参加意向、陶磁器産業を軸とした新しい産業創出のアイデア等を聞き出すインタビュー(あるいはアンケート)調査を実施する。 ◎作業Ⅳ 関連施設群の新たな利活用の方策の提案: 各地域での作業Ⅱ、作業Ⅲの結果を比較検証しながら各地域の地域事情やコミュニティ特性等を炙り出し、各地域の空間特性(変容タイプ・現況立地タイプ)と地域事情等に見合った関連施設群の新たな利活用方策を提案・明らかにする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響により、対象地域の現地調査および分担者との研究打ち合わせを自粛したため、旅費を繰り越すこととなった。今年度新型コロナウィルスの影響がおさまり県外出張ができるような状況になれば、予定していた現地調査の旅費代等にあてる予定である。
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