2021 Fiscal Year Research-status Report
陶磁器産業衰退期における関連施設群の空間変容と新たな利活用方策に関する基礎的研究
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19K04760
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
岡本 肇 中部大学, 工学部, 准教授 (50513355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永野 聡 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (80609149)
臼井 直之 岐阜市立女子短期大学, その他部局等, 講師 (50790185)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 陶磁器産業 / 事業所数 / 全国アンケート / 瀬戸市 / 多治見市 / 常滑市 / 立地動向 / 職業別電話帳 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の実績として、主に〔作業Ⅰ〕全国基礎調査による全体像の把握、〔作業Ⅱ〕対象地域の空間特性把握、を行った。 〔作業Ⅰ〕に関しては、経済産業省指定伝統工芸品に指定された陶磁器産業の国内産地(47市町村)の基礎情報を収集し、本研究の全体像把握や対象地域の位置づけをより明確にするためのデータを作成するため、2021年10月にアンケート調査を行った(回収率は74.5%(35市町村回収))。質問項目は主に陶磁器産地らしい空間の保全・創出のための各市町村の①組織、②計画、③まちづくり事業、④新しい担い手、⑤他地域との関係性、⑥まちづくりの変容、⑦販売形態の変化、⑧地域振興の変化、⑨観光動向、⑩災害対策、ついて尋ねている。その結果、多くの市町村が陶磁器産業を地域のまちづくりの重要資源として認識しているのにも関わらず、どの市町村も有効に活用できていない実態を把握することができた。 〔作業Ⅱ〕に関しては、主要産地である愛知県常滑市、岐阜県多治見市と、愛知県瀬戸市のここ20年のの事業所数及び立地動向の変遷を分析した。その結果、多治見市においてはここ10年で260事業所(2011年の72%)、常滑市においては87事業所(2011年の71%)が職業別電話帳上で消滅したことが明らかになった。瀬戸市においてはここ20年で957事業所(2011年の34.5%)が消滅しており、いずれの市町村も多くの事業所が消滅している実態を明らかにすることができた。それぞれの地域の事業所の立地や減少の実績はGIS上にプロットしており、その傾向も明らかにしている。また消滅した事業所がどのような利用のされ方がされているのか、ゼンリン住宅地図、google map等の使用や、現地調査を介した調査も行っており、現在その結果をまとめている最中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までに、研究目的Ⅰ(陶磁器産業地域の1980年代以降(衰退期)における陶磁器関連施設の空間変容と現況の立地状況の実態を明らかにする)に関しては、以下の作業を行った。 ◎作業Ⅰ 全国基礎調査による全体像の把握 : 経済産業省指定伝統工芸品に指定された陶磁器産業の国内産地(47市町村)の基礎情報を取得するため、関係自治体及び関連団体へのアンケート調査を2021年10月に実施(回収率は74.5%(35市町村回収))、単純集計を行った。 ◎作業Ⅱ 対象地域の空間特性把握 : 本研究のメインの対象地域である瀬戸焼・美濃焼産地(愛知県瀬戸市、岐阜県多治見市等)、伊万里・有田焼産地(佐賀県伊万里市、有田町)、備前焼産地(岡山県備前市)に対して、職業別電話帳による空間変容及び現況の陶磁器関連施設の立地動向の把握調査を行った。特に瀬戸市に関しては、2001年、2011年と現在(2021年3月)の空間変容の実態を詳細に把握することができた(2021年度日本建築学会学術講演梗概集に投稿)。また多治見市、常滑市についても2011年と現在(2021年3月)の空間変容の実態を詳細に把握することができた。 しかし新型コロナウイルスの影響のため2020年2月以降、新幹線を利用しての現況調査の実施を自粛しており、作業Ⅱに関しては当初の予定よりも遅れている状況にあるため、職業別電話帳以外から把握できる空間特性把握のためのデータがまだ充分には揃っていない。 研究目的Ⅱ(関連施設群の新たな利活用方策のあるべき姿・方法論を地域事情を鑑みながら明らかにする)に関しては、瀬戸市に関してはゼンリン住宅地図、google map等の使用や現地調査を介した調査を行っており、現在その結果をまとめている段階である。しかし他事例に関しては、上記理由により調査を自粛したためまだ行えていない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究目的Ⅰ(陶磁器産業地域の1980年代以降(衰退期)における陶磁器関連施設の空間変容と現況の立地状況の実態を明らかにする)に関しては、以下の作業Ⅰ・Ⅱを行う予定である。 ◎作業Ⅰ 全国基礎調査による全体像の把握 :経済産業省指定伝統工芸品に指定された陶磁器産業の国内産地(47市町村)の基礎情報を取得するため、関係自治体及び関連団体へのアンケート調査の結果の詳細分析を行い、査読論文の投稿を行う。 ◎作業Ⅱ 対象地域の空間特性把握:新型コロナの影響のため昨年度実施できなかった対象地域の現地調査の調査を、再開する。また並行して職業別電話帳等からまだ実施していない地域(土岐市、瑞浪市、備前市等)の陶磁器関連事業所の空間変容・現況の立地状況の実態を整理・把握する。 また研究目的Ⅱ(関連施設群の新たな利活用方策のあるべき姿・方法論を地域事情を鑑みながら明らかにする)に関しては、以下の作業Ⅲ・Ⅳを行う予定である。 ◎作業Ⅲ 対象地域の利活用方策の実態把握および仮説提示と、仮説のポテンシャル調査:対象地域内の既存利活用方策を、各種資料の調達や各自治体等の担当課及び陶磁器系組合等へのインタビューにより実態・課題を把握する。またこれらから各変容タイプと現況立地タイプに見合った新しい利活用方策を仮説的に提示し、そのポテンシャルを把握するため地域内の陶磁器事業者やNPO組織等へ、空き空間への利用意向や協働型まちづくりへの参加意向、陶磁器産業を軸とした新しい産業創出のアイデア等を聞き出すインタビュー(あるいはアンケート)調査を実施する。 ◎作業Ⅳ 関連施設群の新たな利活用の方策の提案: 各地域での作業Ⅱ、作業Ⅲの結果を比較検証しながら各地域の地域事情やコミュニティ特性等を炙り出し、各地域の空間特性(変容タイプ・現況立地タイプ)と地域事情等に見合った関連施設群の新たな利活用方策を提案・明らかにする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響により、対象地域の現地調査および分担者との研究打ち合わせを自粛したため、旅費を繰り越すこととなった。今年度新型コロナウィルスの影響がおさまり県外出張ができるような状況になれば、予定していた現地調査の旅費代にあてる予定である。
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