2020 Fiscal Year Research-status Report
Research on the living styles in Japan: Issues and characteristics to be clarified by the Japan-France comparison and the solutions to be presented
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19K04761
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
片山 勢津子 京都女子大学, 家政学部, 教授 (60164307)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | テレワーク / 母親 / 子ども / 住まい / 住まい方 / インテリア |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍で当初予定していたフランスでの調査を断念し、2020年春における母親のテレワークの状況把握を目的に、日仏で比較調査を行った。方法は、テレワーク経験の実態に関するアンケート調査(日仏400名ずつ計800名)と、日本人女性3名を対象にインタビュー調査を実施した。アンケート調査は2020年10月に、インタビュー調査は9月に行った。調査結果から、日本の方が床面積は狭いが部屋数が多いため、部屋の広さはフランスの方がかなり広いことがわかった。以下、日仏のテレワークの特徴をあげる。 日本:多数がノートPCを使用して事務作業を中心に行ない、作業効率は低下したと感じた。作業場所は、子どもの様子がわかるLDが多い。このため、WEB会議時は別の場所に移動し、子どもが幼い場合は、邪魔されない何らかの配慮をしている。場所作りの工夫としては、画角に入る背景を特に気遣った。 フランス:日本に比して多様な機器を使用し、コミュニケーションを取る作業の割合が高く、作業効率は向上したと感じた。作業場所は、LDが多いものの、寝室や書斎の使用が日本より多い。部屋数が少ないほど場所作りの工夫をしていることから、LDや寝室においてテレワークできる場所作りをしたと思われる。アーゴノミックチェアなどオフィス仕様の家具を使用し、さらに採光や植物の希望も多く見られ、作業空間の快適性を求めた結果と考えられる。 以上の日仏比較調査から、部屋を多目的に使用する日本と、機能によって場所を使い分ける西洋の、生活様式の違いを再確認することができた。日本の方がテレワークで効率が低下したとの回答が多いが、より作業効率を高めるためには、フランスのような身体的負担を軽減する備品の整備に加えて、空間的に子どもとの距離の取り方も検討が必要であろう。なお、調査結果は日本建築学会近畿支部、同大会において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた住まい方の訪問調査は、コロナ禍でできなくなった。そのため、2020年春のテレワークに関する調査を行った。その結果、日仏で仕事の効率に関する違い、場所作りの工夫や希望が大きく異なること、子供っとの関係性の違いなどが明らかとなった。将来の母親の生活スタイルの一つとして、テレワークについて調査を進めることにより、当初とは異なる内容になったものの、新しい住まいの提案や、住まい方の提案、場所作りの提案ができると考えているため、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの調査過程を考慮し、下記のように調査内容のを変更する予定である。 ・2019年度:子どものいる家庭の住まい方の定量調査 (日仏の母親の子育て観や住まい観の違いの明確化) ・2020年度:子どものいる母親のテレワークの実態に関する定量調査 (部屋の使い方、子どもとの関係性の明確化) ・2021年度:画像分析、プロトコル分析によるテレワークの実態調査 (場の作り方、インテリアの違いの明確化) 2021年度も訪問調査ができないことから、定性調査として写真撮影を伴う調査を日仏で実施する予定である。現在、住居形態等の違いから3人3パターン日仏9名ずつ調査を行う予定で、準備を進めている。調査結果を画像分析、プロトコル分析から日仏の相違を明らかにし、日本の特性と問題点を明らかにして、今後のあり方を考察する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度のアンケート調査に必要なため、費用を残しました。
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