2019 Fiscal Year Research-status Report
発達障害児支援に向けた小学校普通教室の構造化のニーズと可能性
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19K04762
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
佐々木 伸子 福山大学, 工学部, 准教授 (90259937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下倉 玲子 呉工業高等専門学校, 建築学分野, 准教授 (50510442)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 発達障害 / 普通教室 / 行動問題 / カームダウン / インクルーシブ / 特別支援教育 / 構造化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は発達障害のある児童が在籍する普通教室を対象として、障害による問題を発生しにくくするための「教室の構造化」を検討することを目的としている。研究初年度は、普通教室で過ごす発達障害のある児童の行動問題の特徴と教室の使われ方を明らかとした。 広島県A市教育委員会に対して通常学級に在籍する発達障害等のある児童への対応をヒアリングし、調査対象として通級指導が事項で受けられる広島県A小学校を取り上げた。通級指導を受けている児童の在籍する学級の担任教諭と、通級指導担当教諭へのヒアリングを行った。調査は14クラスを対象に行い、通級指導を受けている児童19名と当該学級で行動問題のある児童22名の行動の状況を収集した。調査より、行動問題のある児童についてそのような要素があるかをその行動をすることによって得られる獲得の要素と困難の要素にわけて整理した。教室で対象児童がどの位置に座っているかを記録したところ、児童の障害特性によって座席配置に特徴があった。ASDの児童は教室の角の席になっている傾向、ADHDの児童は教室の端や後ろの席になっている傾向がみられた。学級担任からの聞き取りによって得られたカームダウン(落ち着き行動)が必要な事例より、カームダウンのパターンを把握することができた。障害種別に見るとASDの児童では、自分の視界を遮ることによる落ち着く静のカームダウンで、ADHDの児童ではパニック時に動いて気持ちを切り替える動のカームダウンがみられた。 普通教室における行動問題への対応は、教室の端や後ろ、担任席の周辺などが使われており、教室環境面で発達障害への配慮をする可能性は多くあることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に計画していた普通教室における発達障害のある児童の問題点の把握は、教育委員会、調査対象校の協力により、順調に調査を実施することができた。事例数としては少ないが、発達障害のある児童が通常学級で抱える困難の実態を明らかとすることができた。 行動問題の解消方法は障害種別に特徴がみられたことから、今後の調査、分析の視点を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、1)発達障害等のある児童の行動問題に対する空間的な対応方法を抽出するために保護者へのヒアリング調査、2)インクルーシブに積極的に取り組む学校(スウェーデンと日本)において普通教室における行動問題への対応方法の抽出を計画している。しかし、新型コロナウィルスの影響で対面での調査が困難になることが予想される。コロナ禍の状況によって調査対象、調査方法の再検討が必要になると考えているが現時点では見通しがたたない。
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Causes of Carryover |
本年度予定していた調査のための印刷物、送料、消耗品の費用を使用しなかったため「その他」の項目で残金が生じた。次年度は郵送調査が増える見込みであり、調査費用として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)